価値観が合わないのは当たり前 「ふたり会議」で「パートナーと話し合いができない」から卒業を!

文=雪代すみれ
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GettyImagesより

 「パートナーと話し合うのが怖い/話し合いができない」「価値観が合わない」——恋愛において、こういった悩みは定番である。

 そんな悩みの解消をサポートしてくれるサービスが、「株式会社すきだよ」が制作した「ふたり会議」だ。LINEで友達登録をし、「結婚」「同棲」「子ども」など話し合いたいトピックを選び、いくつかの設問に3択で回答。二人の回答を共有すると、一つ一つお互いの考え方の相違を確認でき、話し合うきっかけ作りが可能だ。

 同社代表取締役のあつたゆかさんに、「ふたり会議」制作の背景や活用方法について伺った。

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あつたゆか
株式会社すきだよ代表取締役。 家族・パートナーシップに関する社会課題を解決し、ふたりらしい生き方を支援する。夫婦・カップルの対話アプリ「ふたり会議」は7.5万人以上に利用されており、そのノウハウを活かしてパートナーシップの不安によりそうコミュニティ「ふたりの教室」も運営している。

■「ふたり会議」(https://futari-kaigi.com/

■「ふたりの教室」(https://community.camp-fire.jp/projects/view/224147

「交際後のパートナーシップを支えるサービスを作りたい」

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複数のテーマから選んで診断できる(株式会社すきだよ提供)

——「ふたり会議」を制作された背景をお伺いします。

 私は夫のことが大好きで、2018年に結婚しました。ですが、新婚のときに「結婚は墓場」「子どもが生まれると仲が悪くなる」「今が一番幸せ」などと周囲に言われ、違和感を抱いたんです。

 そこで日本の婚姻・離婚の状況に興味を持ち調べたところ、日本では年間約60万組が婚姻届を出していて、約20万組が離婚しています。それが一般的に「3分の1が離婚している」と言われる正体です。また、2016年のリクルートの調査では離婚理由として「価値観の違い」「人生観の違い」「性格の不一致」が挙げられていました。

 これを見たとき、自分と価値観や人生観が全く同じ人間は世の中にいないのだから、話し合うことがパートナーシップなのでは?と思ったんです。しかし、日本ではパートナーと話し合いをできない人が多いですよね。女性が結婚したい意思を伝えるときには、「ゼクシィ」(リクルート)を家に置いて匂わせる謎の文化があるくらい。「結婚したい」とすら言えない中、結婚後に子育てや介護、キャリアなどの話し合いは難しい。そこで、結婚後に揉めたり意見の違いが出そうなポイントの話し合いを支える、「ふたり会議」というプロダクトを作りました。

——「ふたり会議」で取り扱っているテーマや質問内容は、どのように選定されたのでしょうか。

 最初に作った結婚に関する価値観を問う診断は、既婚の先輩から揉めそうなポイントを聞いて制作しました。その後はユーザーさんやTwitterでの意見や要望を聞きながら、項目を見直しています。例えば、結婚指輪の有無や収入をオープンにしたいか、セックスに関する希望などは、ユーザーさんの意見をもとに追加した項目です。

 また、「結婚していないカップルも使いたい」という要望をいだだき、同棲に関する価値観を問う診断を制作しました。有料プランにはキャリア・働き方やお金に関すること、子どもに関することなど、一つの分野を掘り下げた診断も用意しています。

——「ふたり会議」には可愛らしいハリネズミのキャラクターが登場しますが、何か理由はあるのでしょうか。

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名前は「ハリーちゃん」(株式会社すきだよ提供)

 心理学に「ハリネズミのジレンマ」という概念があります。ハリネズミ同士でくっつきたいのですが、近づきすぎると針が刺さって自分も相手も傷ついてしまうことも。パートナーシップも良いことばかりではなく、時には価値観がぶつかって痛い思いをすることもあります。ですが、お互いどこが痛いか話し合って価値観をすり合わせれば隣にいられる、そんな意味を込めています。

——貴社ではパートナーシップを学ぶ「ふたりの教室」も開催していますよね。どのような事業なのでしょうか。

 「『ふたり会議』をきっかけにパートナーと会話ができた」という声をいただく一方で、「そもそも話し合いの仕方がわからない」「パートナーシップで悩んだときに周囲に気軽に相談できる人がいない」「パートナーシップを学ぶ場がない」といった悩みを伺うことがありました。

 パートナーとの話し合いの仕方、子どもを産んだらどれくらいお金がかかるのか、育休取得の生の声など、学校で習う機会がないけれども周囲にも相談できない、そんなテーマを学べる場として「ふたりの教室」を立ち上げました。

 活動内容は、メンバー限定の非公開のSlackで悩み相談や情報共有を行ったり、キャリアや子育て、妊活、セックスの話し合いなど様々なテーマの勉強会を行っています。

 パートナーと二人で参加している方も、子育て中の人もいます。ですが、参加者の4人に1人はパートナーがおらず、「パートナーと会話ができなくて別れてしまったので、次は話し合いをできるようになりたい」という思いを持って参加している方もいるんです。

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パートナーシップの悩みを共有する「ふたりの教室」(株式会社すきだよ提供)

——ユーザーからの反応はいかがでしょうか。

 「ふたり会議」に関しては、恋活や婚活のアプリは世の中にありますが、交際後のパートナーシップを支えるアプリはなかったので「新しい!」という感想をたくさんいただいています。

 また、「前のパートナーには『結婚したい』と言い過ぎて別れてしまい、自分から結婚について切り出すのがトラウマだったけれども、ふたり会議を使ってみたらパートナーも結婚する意思があることがわかり、無事結婚できた」「パートナーは子どもが好きじゃなさそうに見えていたけれども、ふたり会議を使ってみたら、意外と子どもを欲しいと思っていることがわかった」「思ったより相手が将来のことを考えてくれていた」など、価値観の確認のきっかけに使っている声が寄せられています。

 その他、「価値観の違いが可視化されていい」と10代の学生さんの声も。「交際前や交際初期から話し合いできる文化が根付いてほしい」という思いを持っているので、若い方にも利用していただけるのは嬉しいです。

 「ふたりの教室」については、「話し合いをするのが怖かったけれども、パートナーと対話できるようになった」「パートナーと上手くいかなかった経験があり『ふたりの教室』に入ったけれども、ありのままの自分を認められるようになり自己肯定感が高まった」などの声が届いています。

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