宋美玄先生に聞く「よくお腹が張るので、切迫流産や切迫早産にならないかどうかとても心配です」

文=宋美玄
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Gettyimagesより

Q.よくお腹が張るので、切迫流産や切迫早産にならないかどうかとても心配です。

A.必ずしも流産や早産につながるわけではありません。安静にして様子をみて。

 妊娠中、お腹の張りを感じることは割と誰にでもあるでしょう。妊娠6か月以降に感じる人が多いですが、それより早く感じる人もいるようです。症状も様々で、ちょっとお腹が突っ張るだけという人もいれば、お腹がかちかちに硬くなる人もいます。感じ方にも差があるでしょう。

 このようにお腹が張ったときには、何よりも安静にすることが大切です。立ちっぱなしだった場合は、座ったり、横になったりしましょう。そうしてリラックスすると、お腹の張りが自然とおさまってくることが多いと思います。お腹が張ったからといって、ただちに何か危険があるわけではありませんから、安心してくださいね。

 仕事中によくお腹が張る場合は、定期的に休憩をとる、一時的に体に負担がかからない業務に変えてもらうなどしましょう。産婦人科の主治医に、母子手帳や厚生労働省のサイトにある『母性健康管理指導事項連絡カード』を書いてもらって会社に提出し、働き方を調整してもらうのもいいと思います。

厚生労働省「母性健康管理指導事項連絡カード」
https://www.pref.hiroshima.lg.jp/uploaded/attachment/432045.pdf

 しかし、安静にしても張りがおさまらなかったり、1日何回もお腹が張ったり、どんどんお腹の張りが増したり、痛みを感じたりする場合は受診が必要です。出血や破水をともなう場合も、早めに診察を受けましょう。

 診察を受けると、もしかしたら「切迫流産」または「切迫早産」と診断される人もいるかもしれません。切迫流産というのは、赤ちゃんがお母さんの体外で生きていくのが難しい妊娠6か月22週未満で妊娠が終わりかけている状態。妊娠4か月12週までは効果的な薬がないために経過観察となることが多く、それ以降は子宮収縮抑制剤が使われることもあるでしょう。一方の切迫早産というのは、妊娠6か月22週から妊娠10か月37週未満で、早めに赤ちゃんが生まれそうな状態です。

 こうして聞くと怖くなるかもしれませんが、お腹が張ったから流産や早産になるのではありません。流産や早産の兆候の一つとしてお腹が張ることがあるのです。また「切迫早産ぎみ」などと言われる人は多いのですが、実際に早産になるのは全体の5%程度なので主治医にどのくらいの確率なのかを確認しましょう。

<今回のポイント>

○妊娠中にお腹が張るのはよくあること
○なるべく座ったり横になったりして安静に
○張りや痛みがおさまらない場合は受診を

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