子育てのゴールは「ひとりで楽しく暮らせる力」を習得させること 千葉リョウコ×御手洗直子 対談

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『うちの子は字が書けない』(ポプラ社)と『つっこみが止まらない育児日記』(ベネッセコーポレーション)

 『うちの子は字が書けない』『「うちの子は字が書けない」と思ったら』(ポプラ社)で発達性読み書き障害の子どもの「学びと自立」について描かれた千葉リョウコさんと、『つっこみが止まらない育児日記』『さらにつっこみが止まらない育児日記』(ベネッセコーポレーション)でふたりの娘さんの成長を描いている御手洗直子さん。

 独自の視点で子どもを見守り、育てているおふたりは、同人活動をきっかけに15年来のお付き合いだといいます。コロナ禍において不安を募らせている保護者も多いであろう子どもの学びと将来について、おふたりに語っていただきました。

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千葉リョウコ
漫画家。20歳長男と19歳長女の見守り & 11歳の次男の子育て中。子どもを描いた著書に『うちの子は字が書けない』『「うちの子は字が書けない」と思ったら』(ポプラ社)がある。

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御手洗直子
漫画家。8歳と4歳の姉妹子育て中。著書に『マンガ家主婦のツッコミが止まらない掃除と片付け』(マキノ出版)、『つっこみが止まらない育児日記』『さらにつっこみが止まらない育児日記』(ベネッセコーポレーション)など。

――まず最初におふたりの出会いとお子さんの年齢を教えてください。

千葉リョウコ(以下、千葉):子どもは3人。長男フユは20歳、長女のナツは先日誕生日を迎えて19歳、次男のアキが小学6年生です。上の2人が発達性読み書き障害で、文字を「読む」ことはできるけれど「書く」ことが苦手で、それにまつわる本を2冊出しています。

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(千葉リョウコ・宇野彰『「うちの子は字が書けないかも」と思ったら』/ポプラ社刊 p.4より)

御手洗直子(以下、御手洗):長女(むすめ)が小学2年生、次女(通称2号)が4歳の年中さんです。婚活や育児、最近は掃除のマンガを描いています。

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(C)御手洗直子 左から次女、御手洗、長女

千葉:出会いは、15年くらい前でしょうか? きっかけは同人活動です。同じジャンルで活動していて仲良くなりました。以来、たまに会ってお茶をしたりする関係です。マンガ家って家から出ることがほとんどないので、たまには出かけようということで外でお茶を。

御手洗:千葉さんは名刺を作って営業の方にお渡ししていたり、真面目で気遣いができる方だな~と思ってました。

千葉:御手洗さんは真面目なんだけどすごくおもしろくて、漫画もそうなんですけど、これからホテルのアフタヌーンティーに行くぞってときにざんばら髪で現れたり……

御手洗:そんなことありました!?

千葉:美容院で髪の毛切ってる最中に、このままだと約束の時間に間に合わないって途中で出てきたそうです。そして、アフタヌーンティーを終えてまた美容院に戻っていきましたよ(笑)

御手洗:覚えてないけど、汚い恰好で現れがちなのでたぶん私ですね、きっと……

千葉:あれは衝撃的でした。すごく真面目ですごく面白い。ちょうどその時期に、婚活のマンガを描かれてたんですけど、それも、自主的に〆切を決めてピクシブに掲載していてすごいな~と思いました。私はちゃんとした〆切がないと描けないので。

御手洗:婚活はもう、ほんとにおもしろくて。あらゆる友達にしゃべっていたんですが、とにかくもうみんな食い付くし、みんなこういうグロいネタ大好きだよね?と思って描いてました。

千葉:婚活マンガで火がついて、そして子育てマンガへ……子育てマンガもおもしろいです。2号ちゃんが生まれて、姉妹の違いがまたいいですよね。

御手洗:千葉さんにはむすめの保育園入園のときに入園申し込み書類の書き方などをいろいろ教えてもらいました。あれがあったから第一希望の保育園に入れたんだと思います。

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(御手洗直子『つっこみが止まらない育児日記』/ベネッセコーポレーション刊 p.75より)
千葉さんの仕事量がすごすぎて、どう書いたらここまですごい仕事量っぽくできるか悩みました(御手洗)

小学生のあいだは1日1時間、中学生になってからは1日2時間勉強するのが「私にとっての普通」

――御手洗さんは長女が小学2年生とのことですが、自宅学習はされていますか?

御手洗:私は、私の母が教育ママだったこともあり、むすめの勉強も同じように見ています。月~金は1時間、できれば土日も。私自身が<決まった時刻に決まった時間勉強する>で育ったので、同じようにやってます。食事が終わったら、さあやるよ~って感じで。

千葉:すごい!! うちではつい最近も、小6の次男に「宿題やりな」と声かけてトイレに行き、戻ってきたらもう終わっていて、そのあとは好きにゲームをしている……ということがありました。宿題、こんなに早く終わるのなんで? と聞いたら「なんか学校で終わってた」とかいう感じで……宿題終わってるならまあいいかと。

御手洗:そんな感じなのが多数派でうちみたいなのが少数派ってのを最近になって知ってそうなんだ!? って思いました。まあ私の親も私も過保護なんだろうなって自覚はあるんですが。私はきっと親に勉強をやらされなければやらなかった……と思っているので、娘にもやらせてます。

千葉:うちは無理やりやらせてもできないとも思います。特に2番目のナツは興味のないことはまったく頭に入らないタイプなので難しかったでしょうね。その反面、好きなことにはいつでも全力で、絵を描いていると時間も忘れるくらい集中するのですが。

御手洗:子どもの特性によって教え方も変わりますよね。

千葉:そうですね。できるできないも興味のあるなしも違うし。御手洗さんも漫画に描いてたよね。

御手洗:漫画に描いたのは未就学児のころの英語教室のお話しでしたが、うちの長女の場合は、反復練習じゃ覚えにくいようで。今は漢字を練習しているんですけど、英語と同じく知らない単語は20回くりかえしても覚えられない。

 じゃあどうやって覚えるのかというと、物語があったり、絵や歌があると覚えられる。たとえば、「行事」という言葉を覚えるとします。まだ「行事」という言葉の意味を知らないので、「行事っていうのはイベントのことだよ~。イベントってわかる? 運動会とか……」と運動会の絵を描きました。むすめからは「ヤゴレスキュー」という学校でやった活動が出てきて、「それも行事のひとつだね」と会話したり。

千葉:ヤゴレスキュー?

御手洗:プールにわいてしまったヤゴを捕まえて教室で育てようっていうイベントです。こういうふうに話、体験、絵を混ぜないと覚えられないんですよ。なので、教えるときにはそれを意識してますね。

千葉:フユのトレーニングを思い出します。長男のフユは発達性読み書き障害で、書いて覚えるのが苦手でした。書くより文章にして口で覚えるほうがいいということで、漢字を分解して文章をつくるのをたくさんやりましたね。漢字ひとつにつき、文章をひとつ考えて、それを単語カードの表裏に書いて……週に5日、5枚ずつを中1から高3まで繰り返しやりました。

御手洗:そうそう、千葉さんの本に書かれていた、漢字を「花が咲いてイヒヒと笑う」と分解するみたいな感じです。とても参考になりました。

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(千葉リョウコ『うちの子は字が書けない』/ポプラ社 p.53-54より)

千葉:でもその教え方も、子どもの特性によって変わってくるんですよね。フユがその方法なら覚えられるとわかるまでに、いろいろな検査をしました。ナツはナツで、英語だけが特にできないと思って中学生で検査を受けさせたら、実はひらがなの「め」と「ぬ」とか「む」「ね」のような丸くなる部分がある字がわからないと判明したり。御手洗さんはそういうことなく、ご自分でお子さんの得意な方法を見つけていて驚きです。

御手洗:千葉さんの本を先に読んでいたっていうことはあるかも。本以外でもTwitterなんかで発信されていた情報も知っていたので。

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