2020年の家計に関するデータが続々発表されています。新型コロナウイルスの影響でダメージを受けた家計もある一方、総務省家計調査(二人以上世帯2020年平均の1世帯当たり)によると貯蓄現在高(平均値)は2年連続の増加の1791万円、しかも前年比2.1%増というデータも出ています。
コロナの影響で交際費や娯楽レジャー費がかさむことがないため貯蓄などが増え、また投資人口が増加していることもあり、金融資産が増えている人も多いことが考えられます。
今回は、金融広報中央委員会「知るぽると」による家計の金融行動に関する世論調査(令和2年)のデータを使って、貯蓄の現在について確認していきましょう。
貯めている人のデータ
最初に、金融資産を保有している人たちのデータを見てみましょう。各年代の金融資産保有額の平均と中央値を掲載しました。平均は一部の人が数字を引き上げる傾向があります。極端な例で説明をすると、100人中99人が100万円分の金融資産を保有していて、1人が10億円を保有している場合の平均は1990万円になってしまいます。
一方、中央値とは、データを大きい順に並べた時のちょうど真ん中にくる値なので平均よりはリアルに感じると思います。
いずれにせよ、収入も家族構成もライフスタイルも目指すところも違います。人並みには貯めたいと思う方は参考にしてください。
・[二人以上世帯調査]の金融資産保有額(金融資産保有世帯)
世帯主の年齢別 | 平均(万円) | 中央値(万円) |
20歳代 | 350 | 235 |
30歳代 | 644 | 423 |
40歳代 | 1,177 | 686 |
50歳代 | 1,955 | 1,000 |
60歳代 | 2,154 | 1.465 |
70歳以上 | 2,208 | 1,394 |
・[単身世帯調査]の金融資産保有額(金融資産保有世帯)
世帯主の年齢別 | 平均(万円) | 中央値(万円) |
20歳代 | 203 | 81 |
30歳代 | 484 | 206 |
40歳代 | 1,066 | 400 |
50歳代 | 1,601 | 622 |
60歳代 | 1,872 | 860 |
手取りからの貯蓄割合は?
この仕事をしているとよく「給料から何%くらい貯めればいいですか?」という定番の質問を投げかけられます。しかし、これも一律に「○○%がいい」とは言えません。なぜ貯蓄したいのか、目的や目標を見据えて決めるべきです。
とはいえ、他の人のことが気になるのも確か。ということで、データを見てみましょう。以下のデータは、月々ではなく年間の手取りに対する貯蓄割合なので、ボーナスの有無で変わってきます。
・[二人以上世帯調査]年間手取り収入(臨時収入を含む)からの貯蓄割合(金融資産保有世帯)
世帯主の年齢別 | (%) |
20歳代 | 13 |
30歳代 | 13 |
40歳代 | 11 |
50歳代 | 10 |
60歳代 | 8 |
70歳以上 | 7 |
・[単身世帯調査]年間手取り収入(臨時収入を含む)からの貯蓄割合
世帯主の年齢別 | (%) |
20歳代 | 18 |
30歳代 | 16 |
40歳代 | 13 |
50歳代 | 12 |
60歳代 | 8 |
貯めていない人のデータ
貯蓄などが全くない人はどのくらいいるのでしょうか。
・[二人以上世帯調査]の金融資産非保有率
世帯主の年齢別 | (%) |
20歳代 | 16.0 |
30歳代 | 8.2 |
40歳代 | 13.5 |
50歳代 | 13.3 |
60歳代 | 18.3 |
70歳以上 | 18.6 |
・[単身世帯調査]の金融資産非保有率
世帯主の年齢別 | (%) |
20歳代 | 43.2 |
30歳代 | 31.1 |
40歳代 | 35.5 |
50歳代 | 41.0 |
60歳代 | 29.4 |
「思っていたより多い」という感想を抱いた方も少なくないと思います。しかし、健康を害する、失業するなど何か1つ歯車が狂ってしまっていきなり収入がゼロになる……といった事態は誰にでも起こりうることです。 そんな時に、貯蓄がないと非常に厳しい状況になるでしょう。
まとめ
貯蓄ゼロで安心して気持ちよく生きていける人はまずいないはずです。だからといって節約と貯蓄だけの人生も楽しいかと言われれば疑問です。まずは、貯めることの目的を考えて目標を定めてみましょう。そのためにも、こうしたデータを参考にしてみてください。
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