仁藤夢乃さんが指摘する買春者に都合の良い日本社会の現状 「JKビジネス」「パパ活」性搾取を不透明化する言葉

文=雪代すみれ
【この記事のキーワード】

日本は当事者に負担をかけすぎている

——活動を続けてきて社会の変化を感じることはありますか。

 以前、大学の授業で「売春する中高生にどういうイメージを持っている?」と聞いたとき「好きでやっている」「ブランドもの欲しさ」「快楽」といった、間違った認識の回答が多かったんです。そこから少女たちの貧困や孤立、少女たちに近寄る買春者の実態を知らせる必要性を感じ、2016年より「私たちは『買われた』展」を開催してきました。

 最近同じ質問をする機会があったのですが、「貧困」「孤立」と答える人が増えてきたことは、一つの変化だと感じています。ただ、「かわいそうな人」という程度の認識の人も多く、依然として買春者の責任や、福祉の機能不全にまでは認識が辿り着いていない。一人ひとりの権利や尊厳をどう守るかまで考えるべきであり、まだまだ社会のアップデートは必要です。

——「買う側の問題」と認識できる人は増えてきましたか。

 そうですね。「『買われた』展」を通じ、買春の実態や福祉の機能不全についても伝えているため、「言われればわかる」人は増えてきているように感じます。5年前では今回のような「買う側の責任」を問う切り口での取材依頼はまずありませんでしたので。

 女性たちを中心に、抱いた違和感を無視せず声をあげたり、言葉にすることで、連帯や影響力があがってきたように感じます。女性たちの声を無視できない状況を作っていくことが今後も必要になってくるでしょう。

——今後、課題だと感じていることは。

 まず、買春者の取り締まりが不十分なことです。これまでお話したように社会全体で買う側の責任を問う視点が欠けているため、買春者にとって都合の良い社会になっています。

 Colaboでは週に1回、バスの日に街に出てアウトリーチ(声かけ)をしていますが、斡旋業者は毎日街にいて、一人に断わられても次々と声をかけている状況です。毎日いるので業者の方が経験が豊富で数も多く、業者と買う側を取り締まらなければ、支援する側のアウトリーチだけでは追いつきません。

 「売る側」の女性の保護や更生を目的として1956年に制定された「売春防止法」という、名称からして差別的な法律があるのですが、売る側は勧誘の罪で罰せられることがありますが、買春側への罰則はなく買春者が野放しになっているのが現状です。

 二つ目に福祉の機能不全です。家出する少女を被害者やケア対象としてでなく、指導対象や非行少女として見る視線は依然として強い。家に帰れないのには事情があるのに、「非行」だとして家に帰らせようとしたり、規則で縛ろうとする。だから福祉は少女たちから選ばれなくなってしまうんです。国や行政は支援を恩恵と捉えるのではなく、権利の保障と考え、枠に当てはめた支援をするのではなく、一人ひとりがどう生きていけるのかといった視点での支援が広まることを望みます。

 三つ目に当事者の負担が大きすぎることです。当事者が声をあげなくても、女性を始め気づいた人が声をあげたり、積極的に活動したりという流れが海外では見られます。一方日本では、当事者が声をあげないと変わらなかったり、当事者が支援をしていたり、当事者任せにしすぎです。

 どんな暴力や被害があるのか、そう至ったのにはどのような背景があるのか。現場で何が起きているのかが十分に知られ「それって暴力だよね」とわかる人が増えれば、当事者任せの状況は変わると思います。

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