初めての生理準備BOX「READY BOX」が伝えたい思い 「生理をネガティブなものとして迎えてほしくない」

文=雪代すみれ
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Gettyimagesより

 小学校で初めて生理の話をされたときのことを覚えているだろうか。女子だけ別室に集められ話をされたという人も多いだろう。このように長年、生理は“隠すもの”という風潮が強かった。

 「初めての生理のとき、なんとなく恥ずかしくて親に言い出せなかった」と一般社団法人READY BOX代表の三上麗さんは振り返る。そして「初経のときに『生理や性に向き合うことは恥ずかしいことではない。気軽に相談していい』ということがわかれば、性の悩みに直面しても、一人で抱え込まなくなるのでは」と考え、生理を迎える前に知識を得たり、周りの大人と話すきっかけを作るツール「READY BOX」を制作した。

 「READY BOX」制作の背景や活動への思いについて、三上さんに聞いた。

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三上麗(みかみ・うらら)
一般社団法人READY BOX代表。高校生の頃、性教育の大切さに直面し、性教育講演等を行うNPO法人の活動に参加。その後、性教育における初経の準備段階に着目し、初めての生理準備BOX「READY BOX」を制作。

ワクワクして生理を迎えられるような「生理準備BOX」

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一般社団法人READY BOX提供

——「READY BOX」のコンセプトをお伺いします。

 一言でいいますと「初めての生理準備BOX」です。子どもたちが安心して初経を迎えられるよう、準備に使っていただけたらと思っています。

 「READY BOX」の中には紙ナプキンだけでなく、タンポンや布ライナーも入れています。これは、複数の選択肢があることを知ってもらうためです。また、生理に関する知識も身につけられるよう、ブックレットも入れました。

 「生理をネガティブなものとして迎えてほしくない」といった願いがあり、開けたときにギフトのような、ワクワクできるようなイメージで制作しました。お子さんが一人で開けていただいてもいいのですが、保護者や先生など周囲の大人と一緒に開けていただけると、「READY BOX」を通じて生理や性について話せるきっかけを設けられますし、性に関することに限らず、困ったときに相談できる関係性を築いてもらえれば嬉しいです。

——今年の5月~6月にクラウドファンディングをされていましたが、どのような反響がありましたか。

 目標金額の100万円を超え、186名の方から合計約152万円のご支援があり、多くの方から「自分が子どもの頃にこういうものが欲しかった」という声、私と同世代の人からも「将来、子どもにプレゼントしたい」といった声をいただきました。

 また、シングルファーザーの方からも「話を切り出すのは大変だけれども、大切なのはわかってて、話すきっかけにしやすいので助かる」といった、たくさんの応援コメントが届きました。リターンとしてひとり親家庭への寄付を設定していたのですが、代表の方から「ニーズが高かった」と伺っています。

 現在ではECサイトでの販売も始めており、実際に手にとっていただいてからは、「ブックレットを使って子どもに生理について教えた」という親御さんや、「教え方に悩んでいたが、BOXやブックレットがあると教えやすい」という男性教員の方からの声が届いています。

——「READY BOX」の中身はどのように決めたのでしょうか。

 アイテムについては、学校では紙ナプキンしか教わらないかもしれませんが、人によってはタンポンも必要ですし、紙ナプキンですと肌荒れしてしまう人もいるため、布ライナーも入れました。

 アイテムの素材にもこだわっており、紙ナプキンはトップシートと吸水体が天然素材でできている「ナチュラムーン」さんの商品を採用し、タンポンも「ナチュラムーン」さんの商品で、吸水体はオーガニックコットン100%です。

 デリケートゾーン用ソープも入っていて、石油由来の合成成分を極力使用していないもので、動物実験をしていないメーカーさんのものを採用しました。クラウドファンディングをした時はデリケートゾーンを拭くシートを入れていて、「READY BOX」ではデリケートゾーンケアを考えたり、洗い方を学んでほしいという思いもあります。

 ブックレット・ポーチ・シールはオリジナルで制作しています。デザインを開けたときにワクワクするような、ポップなイメージにしました。ブックレットは生理だけでなく、体の仕組みや人権などについても掲載しており、性に関する知識を学べるものです。

 また、「READY BOX」全体として環境への配慮を意識しています。布ライナーを入れているのは、「子どもの頃から捨てる以外の選択肢を知ってほしい」という思いも込めていますし、ビニールを用いたラッピングをした方が、よりポップなデザインになるとは思うのですが、できる限りゴミが出ないよう簡素なものにしました。

 身体の健康を一番に考えたときに、紙ナプキンが最適な方もいらっしゃると思うので、必ずしも生理に関してサステナブルな選択をとらなければというわけではありませんが、様々な選択肢を知っておくことで、自分の体調と相談しながら、環境負荷を減らせる選択もできるのではないかと考えています。

生理のタブー感を取り除くことで、性の悩みを抱え込まなくなるように

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一般社団法人READY BOX提供

——「READY BOX」の活動を始めた経緯をお伺いします。

 私の課題意識の原点は高校生の頃に性被害に遭い、性教育の大切さを感じたことです。高校生までの18年間で、必要な性の知識を学ぶ機会は全くなかったですし、被害なのに自分を責めてしまったり、「恥ずかしい」という思いがあって周囲に相談できませんでした。

 傷つく人を増やしたくないですし、性について話したり、興味を持つことは決して“エロいこと”ではなく“普通”のことという認識も広まってほしいという思いで活動を始めました。

 最初は性教育講演などを行っているNPO法人「ピルコン」や、AVや風俗を抜けられず心身共に傷ついている若者支援のNPO法人に関わっていましたが、活動を行うなかで、自分が性被害に遭ったときに話せなかったり一人で抱え込んだのは、自分が初めて性と向き合った初経のタイミングで「恥ずかしい」と思ったからでは、と気づいたんです。

 学校では生理の説明のときに男女に分けられ、生理について話すことのタブー感があったり、親との関係は良好でも生理については話せない雰囲気など、特別恥ずかしい出来事はなくても、子どもなりにこうした空気から「話してはいけないこと」と感じ取ったのだと思います。

 初めて直面する性に関する話題である生理を「恥ずかしい」「隠すべきもの」とされているゆえに、その後の性行為・避妊・妊娠・出産に関する話もこっそりと学ぶ雰囲気になっている。そこから、初経の準備段階に焦点を当て「READY BOX」の制作を行いました。

 小学校低学年~中学年で生理に関する知識に出会って、明るい雰囲気で生理準備BOXを大人から渡される。それは大人からの「性について学んでみたら」という言葉になり、子どもは「親や先生がそう言うなら、興味を持っていいんだ」と思えると考えています。

子どもが「楽しい」と感じられる性教育を

——今後取り組みたいことはありますか。

 日本では「生理セット」というものはあっても、生理用品以外も入っている「生理BOX」は見かけたことがないですし、「生理BOX」という文化自体がありません。まずは、「READY BOX」という一つの選択肢を知っていただきながら、「生理BOX」という文化を広めていきたいです。

 「READY BOX」は10個売れると1個がひとり親家庭に寄付される仕組みになっています。直接的な寄付とは異なりますが、「誰かの役に立てる」という少し良い気持ちで買っていただけたらいいなと思い、この仕組みを設けました。

 現状、日本の性教育は学校格差が非常に大きいです。そのため家庭でも取り組む必要があるものの、情報感度にも差があります。今の大人は性教育を受けてこなかった人がほとんどで、教わったわけでも、自分に知識があるわけでもない。勉強の教科でさえ子どもが理解できるように教えるのは難しいのに、性教育はなおさらハードルが高いですよね。

 かつ学校の先生も保護者も忙しく余裕がありません。性教育本やネット上に情報があることも重要ですが、それを取り入れ子どもに伝えられる親はどれだけいるのでしょうか。そういった課題意識から、大人が簡単に伝えられ、かつ、子どもにも楽しんでもらえるような性教育の環境を整えていきたいです。そのために「READY BOX」というプロダクトをきちんと届けていかなければ、という思いでいます。

 また生理については、生理のない子どもたちにも教える機会が必要です。私は幼児教室でのベビーシッターの仕事など、これまで子どもと接する機会が多かったのですが、教材は子どもが「楽しい」と思えなければ、大人のエゴだと思うんです。

 たとえば過去には「うんこドリルシリーズ」(文響社)が流行りましたが、あれは子どもが楽しいと思えるから広まったのですよね。いずれは生理の枠を超え、子どもの視点を大切にした「楽しい性教育」の教材やBOXを制作できたらと考えています。

★「READY BOX」の詳細はコチラから!

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