ズボラ育児を、姑が「意識高い」自然派育児と勘違い!

文=山田ノジル
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Gettyimagesより

 物事を自分の辞書で翻訳する、という経験は誰しもあるでしょう。理解を深めるため、身近に感じられるように、自分を納得させるため。いろいろな理由がありそうです。最近では、現代の常識やビジネス視点で語られる、昔話や神話などもよく見かけます。それらには笑いや学びがあるものの、見ていて困惑してしまうのは、発達障害を当事者以外の人が「ギフテッドの天才!」とタグ付けしたり、「宇宙から来た、地球を救うための魂である」などと壮大なスケールで語ったりすること。ほかにも、トラブルを「魂の修業のため」「自分の人生に必要なことだった」という精神世界解釈で納得させるというのもよく見かける言説です。

 今回は、そんな「超解釈」が思わぬ助けになったという体験談をお届けしましょう。お話してくれたのは、元・自然派沼の住人、S子さん。30代、2児の母です。

 自称「ただのズボラ」な育児を、「意識高い自然派育児」として解釈し、ほめちぎってくれるのは姑。姑は元教師で破天荒な自由人、そして「宗教やトレンド的な趣味など、とにかく何かにハマっていたい人」なのだとか。

S子さん(以下、S子):姑がハマっていた宗教に個人情報を流されるなど、トラブルがあったので一時期疎遠になっていたのですが、少し交流が復活するようになると「無農薬だから」が口癖になっていることに気づきました。そのころの私も、子どもの生活用品や食べ物は自然なものにこだわっていたので共感できる部分も多く、ある意味姑と仲間意識が芽生えたかもしれません。宗教でのいざこざはあったものの、子どもにむやみやたら市販のお菓子を食べさせようとする他の親類より、よっぽど安心して付き合えました。

 ところがその後、第2子が生まれると、子どもをふたり抱える生活の大変さから、S子さんは脱・自然派。「ていねいな育児」もすべて投げ捨てたと言います。

S子:2子がやんちゃすぎて大変で、こだわりの自然派生活なんて優雅なことをやっていられなくなりました。知育遊び? 体力づくり? 食べたものが体をつくる? そんなこと考えているゆとりは、まったくありません。ところが「ズボラ」としか言いようのない私の育児を見て、姑がこんなことを言い始めました。

 以下、S子さん姑のコメントをまとめてみました。

脳も活性化する裸育児

▼S子さん視点

1歳半の2子は裸族。服はもちろんおむつすらつけさせてくれず、追いかけ回し、叱る毎日に限界。結果、裸で放置することに。当然靴も履いてくれず、すぐに素足で脱走します。

▼姑コメント

裸育児は素晴らしい! 刺激を全身で受け止めることができるのよ! そして素足で感覚が鍛えられているからこそ、この体つきで運動能力……(うっとりしながら)。S子さんの子育ては、本当に徹底してますね。

▼ノジル補足

「裸育児」とは、赤ちゃんは裸が大好きで、裸でいると脳の発達にいいことだらけ! と謳われる育児法です(Sさん姑の言う裸育児が何を指すかは不明)。裸育児を推す育児書のトンデモっぷりは過去に当連載でも取り入れたことがあり、さらにこれを取り入れている幼稚園のHPを見ると、「健康に付随するあらゆる能力がぐんぐん伸びた」「開放的、寛容、明朗な性格になる」「親の過保護から解放される」「病気に対する抵抗力が出来た」「病気をしても回復が早くなった」「小児喘息が治った」といった怪しげな効果効能が書かれていることからも、だいぶ「信仰」が入っている気配が伝わってきます。

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