日本と海外の映画ポスターはどうしてこんなに違う? その理由を映画ポスター専門店に聞いた

文=まいしろ
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奥が深い映画コレクターの世界

――「映画ポスターを集める」という文化についてもお聞きしたいのですが、まずコレクターはどういった方が多いのでしょうか?

 日本だと、劇場に貼られる「オリジナル」なら20代後半ぐらいから、販売用の安い「リプリント」なら、中学生ぐらいから購入されています。男女どちらも多いですが、やや男性が多いですね。

――日本のコレクターに特に人気の作品などはありますか?

 ご自身の好きな監督・俳優・シリーズで集められる方が多いですが、昔から特に人気なのはディズニー・アニメーションのシリーズ、スター・ウォーズ関連作、007作品などですね最近はマーベルやDCといったアメコミの映画化作品を集められる方もとても増えています。

 あとは、先ほどの話にあった、アメリカで早い時期に出されるシンプルなポスターは人気になることが多いです。

 もともとの枚数が限られていますし、デザインが印象的なことも多いので「すべてのポスターが出揃った後で、一番最初のものが人気になる」というのはよくあります。

――すべてのポスターが出揃うというお話がありましたが、「公開後にポスターが追加で作られる」ということもあるのでしょうか?

 アメリカでは、まれにあります。アカデミー賞は1月から12月に公開された作品が候補になるんですが、やはりその年の最後の方に公開されたものの方が印象が強いんですね。

 なので、上半期に上映していた映画をアカデミー賞のノミネーションの時期にもう一度上映することがあります。そのとき、別のバージョンのポスターを作ることもありますね。

 あとは、人気の作品のリバイバル上映のときに、新しいポスターを作るということもあります。

 特に、ディズニーの「白雪姫」「わんわん物語」はアメリカのリバイバル上映でも非常に人気で、上映するたびに新しいポスターを出しているので、さかのぼって集められている方も多いです。

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『白雪姫』1983年再公開時ポスター(ドメニカポスター提供)

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『白雪姫』1987年(50周年記念)再公開時ポスター(ドメニカポスター提供)

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『白雪姫』1994年再公開時ポスター(ドメニカポスター提供)

――コレクターの間で特に話題になった映画ポスターがあればお聞きしたいです!

 いろいろありますが、「スター・ウォーズ エピソード1」のポスターなどは圧倒的に話題でした。

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映画『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』ポスター(ドメニカポスター提供)

 「この少年がいかにしてダース・ベイダーになったのかを描く」というのがシンプルに示されていて、それまでのスター・ウォーズ・シリーズのポスターとはまったく印象が違うものだったので、非常に話題になりました。

――おもしろいですね。「作品はあまり有名ではないが、ポスターは人気がある」というケースもあるのでしょうか?

 ありますね。60年代、70年代のオリジナルのポスターだと、映画自体は有名でなく、観ていない作品でもデザインがいいので買われるということもあります。

 紙質や印刷技術でいくといまのポスターにかなわないですが、折り目がついていたり日焼けがあるのが、逆に当時の雰囲気を感じさせるいい味わいになっています。

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『THE HIRED KILLER』(ドメニカポスター提供)

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『THE GREAT SPY CHASE』(ドメニカポスター提供)

――前田さんの映画に対する愛も伝わってきて、非常におもしろいお話でした。本日はありがとうございました!

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