もともとは仲よしなのに子育てを始めてからパートナーとの衝突が増えた、というのはよく聞く話。その理由は、どちらかが悪いなどではなく、赤ちゃんはかわいいけれど、育児自体は重労働だからかも。そこで、漫画家・青鹿ユウさんが夫婦仲よく育児していくためのハックを、ご自身の経験を振り返りながら探っていく連載がこちら! 今回は、里帰り環境を作るために使ったお金の話。
子育てって、お金がかかりますよね。「子育てにかかるトータル費用はうん千万円!」という、ひえぇ~とおののくような遠い話から、「出産するのに持ち出しうん十万円もかかるのかよ…子育てが始まってもいないのに出費が…」とリアルに今お財布が痛ぇ…と思うものまで。だからこそ、子ども服やおもちゃへの財布の紐は緩くなっても、親は自分たちにかけるお金がとにかく惜しくなりやすい…。
私が里帰り出産をしないと決めた時、まわりからかなり言われたのが「絶対に里帰りしたほうがいい」という意見や空気でした。「産後をなめてるでしょ…?」と言われたぐらい…。もちろん、なめてかかっていたわけではないのですが、初産の私は産後の経験がないので(当たり前だけど)何がどうそれだけヤバいのかわからないわけです。
なので、逆に「里帰りのメリット」を聞いたり調べたりしてみました。要は、そこを夫婦2人や外注でクリアできればよいわけで…。その結果、大きく2つのメリットが見えてきました。
A○家事をしてくれる大人がいる(母親が体をやすませ、育児に集中しやすい環境がある)
B○アドバイスしてくれる育児経験者、何かあったときに頼れる 大人が近くにいる安心感。
Bの育児経験者の子育てアドバイスは自治体が開催している育児相談室を通じてプロに頼ることにし、オットは自宅で仕事をしているので一人きりになることはないので、問題はAだけ。とりあえず外注でなんとかなるのではないかと思い、家事負担を洗い出してみました。
1 食事
今は宅配食というありがたいサービスが無数あります。最初は「揚げ物ばかりで偏らないかな?」と不安だったのですが、さまざまな宅配食サービスの資料を取り寄せたところ…栄養士監修! 塩分調整! 肉魚野菜を偏りなく! ボリュームも選べる!etc
「え…? 私が作るよりよほど体にいいのでは??」と思うラインナップ。さらには冷凍で保存しておけるものから、毎日でき立てを運んでくれるものまで…「ご飯は家で炊くから、おかずだけ欲しいんだよね」なんてニーズにもばっちりお応え!(なんか宅配食サービスの回しものみたいだな…)。え? これでよくない? 十分じゃない? 容器も回収してくれる会社もあるからゴミも増えないし…。と、いうことで食事問題はOK!
2 洗濯
もともと、ドラム式洗濯乾燥機を使っていたのですが「乾燥機ってなんかもったいない。電気代がかかりそうだから特別な時だけ使おう」とほぼ外で干していました。それを乾燥までオールインワンで済ませてしまおうと決意。これで濡れた衣類をえっちらおっちらベランダに持っていって干したり取り込んだりする手間もかからないぞー!
3 掃除
掃除は主にオットにお願いしようと思っていたのですが、すでに水回りの汚れが蓄積している状態…。大掃除をしようにも私はお腹が重くて大変。オットは仕事があって大変。なので、これを1度プロに頼んでリセットしてもらい、きれいになってから日々の細かい掃除を時短でオットにやってもらえばいいと考えました。台所も、宅配食にしてしまえば汚れづらいし。
と…ここまで夢をふくらませて、「よし! これで家事は実質里帰り出産環境じゃん!」となったのですが…問題は「お金」です。
誰かに頼む=お金がかかります。食事も洗濯も掃除も、今まで私がやっていたので出費としてはゼロ円でした。こういったサービスはお金がかかるイメージがあったし、そんなお金が我が家にあるだろうかと悩みました。
私たち夫婦は共に漫画家でフリーランスなので、育休的な金銭の補償はなく、休めば休んだ分だけ収入が減ります。さらに漫画家という職業柄、連載が終われば即無職。ずっと続けられる保証もない。退職金もない。ないない尽くし…。「出産時こそ、出ていくお金が少なくなるように財布の紐を締めておかないとダメなんじゃない?」「私たちにそんな贅沢してる暇ある?」と一度考えた「実質里帰り環境プラン」は保留となりました。私たちがラクをするためにお金をかけてはいけないような気がして…。
でも、その夜、布団の中でうんうん考えてみたのですが…
私は過去、オットの大病がわかった時に「全部自分でなんとかしなきゃ」と頑張りすぎて潰れてしまった経験を思い出しました。そして、一度潰れてしまうとちょっとやそっと休んだだけでは元通りにならず、余計に時間も費用もかかることも。お金は潰れてからかけるんじゃなくて、潰れないためにかけたほうが費用対効果が高いし安価ですむはず!
…しかし、そうはいっても躊躇してしまい、「自分の環境をラクにするためのお金」どうしたもんかなぁと思ってインターネットで検索していたら、ふと「里帰り出産、親にお礼として渡す金額の相場」という文字が。「あー里帰り先にお世話になるし、物理的に人ひとりの生活のお金もかかるから渡すよなー…ん? 待てよ? 里帰り出産だってタダではないぞ…?」と気づいたんです。(もちろん、両親が受け取らないケースもあると思いますが)
そこから、仮に我が家が里帰り出産をした時にかかる金額を調べました。私の親は頼れないのでオットの両親宅に行ったと仮定して、熊本までの飛行機代が往復約3~4万円。私1往復オット2往復として、合わせて9~12万円。両親にお礼として包むお金の相場が3~4万円。その他オット1人で暮らすのに渡すお金が3~4万。マックス見積もって約20万ぐらいはかかります。
と、いうことで「里帰り出産だってタダじゃないんだから、かかる費用分は必要経費だ!」と気持ちよくお金を使うことにしました。
おかげで産後2か月ほど、ほぼ台所に立たず夫婦2人とも宅配食のみで、炊事の負担はほぼ0! 煮炊きをしないので台所掃除の負担も激減!(食器洗いもほぼなし!) 洗濯も乾燥機にかかる電気代を調べたら、毎日1回1か月使っても千円もかかっていませんでした。 「え? それなら毎日使ったほうがいいじゃん? 今までなんで使ってなかった?」と驚きました。掃除も、水回りをプロに徹底的にきれいにしてもらったおかげで赤ちゃんを気持ちよく迎えられました(オットの掃除の負担も激減)。
家事という負担からほぼ解放されたので、産後はゆっくりと休んで育児に専念できました。それでも、私はあれよあれよという間に産後うつ気味になり、育児をするだけでクッタクタに疲れてオットと衝突することもあったので、これにもし家事がお互いの負担としてのしかかっていたら…と思うとちょっと怖かったです。
そして何より、大人の負担軽減のためにお金を使う。これを産前に覚えてよかったです。「私がちょっと我慢すれば」、「僕がちょっと頑張れば」…もちろんお金は無限にはないので頑張ることも必要ですが、かけるべき所にお金をかけないと、じわじわと蓄積された親の負担は簡単に子どもに向いてしまうこともあります。何がなんでもお金を使わないのではなく、お世話をする大人が潰れないためにどこにお金を使うか、使うことありきで考えていきたいなぁと思いました。
と!いうわけで今回のお題はこちら!
<今回の投稿募集>
ここに資金を投入すると費用対効果すごく高いよ!というのがあるとおもいます。是非「ここにお金をかけてよかった~!」と思うことを教えてください。めっちゃくちゃ知りたいです!
ちなみに、私は乾燥機代を恐れず乾燥まで衣類を仕上げることを覚えて、苦手だった洗濯干しから解放されて生活がすごくラクになりました(´▽`)苦手な家事がラクになることによる心の解放…!
#子育て負担軽減のためのお金 #ふうふう育児
匿名で言いたいなぁ~という方はマシュマロもお使いいただければ
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