もともとは仲よしなのに子育てを始めてからパートナーとの衝突が増えた、というのはよく聞く話。その理由は、どちらかが悪いなどではなく、赤ちゃんはかわいいけれど、育児自体は重労働だからかも。そこで、漫画家・青鹿ユウさんが夫婦仲よく育児していくためのハックを、ご自身の経験を振り返りながら探っていく連載がこちら! 今回は、思い通りにいかなかった出産時の話。
妊娠・出産・産後って本当に人それぞれで、「絶対に大丈夫」ってありませんよねぇ…。
私は妊娠生活中に何度か小さな出血があったりしたのですが、体質的なものらしく、赤ちゃんの成長や妊娠経過自体は順調に進みました。正期産になり、子宮口も徐々に開き、あとは陣痛が来て産むだけ! 妊娠中にオットと一緒に「仲よく育児」する方法も話し合ったので、安心して産めるなぁ…と思っていたところ…前期破水しました(ばしゃっと破水せず、尿漏れぐらいの破水)。
しかし、陣痛は全然来ず…。もともと無痛分娩で産む予定だったのですが、予定日前に少し破水→細菌が入ってしまったようで、自然に陣痛がくるのを待っていると、赤ちゃんに危険があるかもしれないという医師の判断により、緊急帝王切開となりました。少しとはいえ破水してしまっていたため、早く陣痛がくるようにと陣痛促進剤を打ったので、3日間ジリジリとした痛みに苦しんだ後の判断でした(しんどかった…)。
「緊急帝王切開」になる場合があることは知っていましたが、まさか自分がそうなるとは思わず、心の準備もないまま手術をし、娘のふーみんを出産。母体と赤ちゃんの命が大切なので、緊急手術になること自体にはなんの抵抗もなかったのですが、術後にどんな経過をたどるのか、どんな産後指導があるかについても説明が不十分だったので、「手術したはいいが…私は何をどうすればいいのだろう…」と不安でした。
そして、いよいよ始まった育児。…これが事前に勉強しておいたことが何一つ上手くいかないっ!
私においては、赤ちゃんが育児書通りでなかったことに四苦八苦したというより、産後の私の思考が産前とかけ離れていたことが大きな原因でした。元々「母乳でもミルクでもどっちでも~」「育児はうまく手をぬいてやるぞ」と思っていたはずが全然そうなれず、「母乳出さなきゃ!」「全責任は私(親)にある! 手を抜くことは子を殺すことに通ずる」「24時間気を抜くな!」という感じに…
え? これ何? 脳内に鬼教官でもいるの? 何ーズブートキャンプですか?
といった状態。産前になかった母乳への執着も「初乳には抗体がたくさん含まれている」と聞いて、母乳をあげないと赤ちゃんが弱ってしまうかもしれないと思ったんです。とにかく自分の計画していたことを自分でやめて焦ったり、今まで思っていた「私の性格」とかけはなれた行動をしたりして「自分自身も自分がよくわからなくて怖い」状態になっていました。
また、出産を手助けしてくれた医師や看護師さんの中にも相性の悪い人はいて…その人達の「冗談」や「よかれと思っての私には無理な指導」の言葉が突き刺さり、言われたことを守らなきゃと睡眠時間を削って厳守し、退院するころには自身の体の痛みと育児が不安で毎晩泣いている状態に。
そんな状態で夫婦2人だけの家に戻り、育児がスタートしたのですが…オットの「こうしたらどうかな?」「上手くいかないなぁ…」といった言葉も心に刺さりました。なぜか「オットに聞かれたことには、私が全部正しく答えなければならない」ような気持ちになり、オットが何をしても「あそこが至らない」「ここがダメだ」「何もなっちゃいない」とダメ出し。生後2週間で、ふーみんが発熱し緊急入院をする事態になってしまったこともあり、「初乳をちゃんとあげられなかったから…」「私の何がいけなかったんだろう」と…全てを責める負のスパイラルに陥りました。
思い描いていた「夫婦仲よく育児」からかけ離れた毎日。私はオットとしゃべる時間が減り、オットは何かすると私がすぐ怒るので「…それなら仕事をしていよう」というモードに。お互いが「こんな人だとは思わなかった」状態になりました。
そんな折り、産後すぐにお世話になった産褥ケア入院先の助産師さんに、母乳ケアという名目で育児相談をしにいきました。そこには複数の助産師さんがおり、相性のよい人を指名することもできたので、安心して不安や愚痴を漏らしたところ、産後ラクになるコツを教えてくれました。ひとつは、さまざまなプロを頼り夫婦だけで解決しないようにすること。そして何より一番大切なこと、それは「助けて」と口に出して言うことです。
思い返せば出産後、まともにオットに「助けて」と言ってなかった…! いつも勝手に自分で解釈したり、私の尺度に達しないとイライラ、ムカムカしていた! 産前の私は「は?」と思ったら腹で思う前に口が出て、即ラップバトルばりの対話を開催していたのに…!
その後、帰宅してすぐに「オットに助けてほしいことがあるので、話をしたい」ともちかけ、「現在の私はこうとらえてしまうので、この話題については何も言わないでほしい。もしくは、このタイミングを待ってほしい」「いまいちかみ合ってなかった赤ちゃんのお世話の手順を一緒に見直したい」など、思っていたこと具体的に伝えました。
オットも「勝手によかれと思って行動してごめん。今度から母乳に関しては聞いてから行動するようにするね」「僕がこう言った時はそれ以上の含みはないので、行間を読まないでほしい」などと、どうされたら助かるを話してくれました。
我が家が体験した「産後のギスギス」の大きな原因は、夫婦でなんでも解決しようとしたことと、私もオットもパートナーである相手に「具体的にこうしてほしい」「助けてほしい」とお互い口に出さなかったことだなぁと学んだ出来事でした。
あと! 産後私の中に生まれた脳内鬼教官、マジで早く退出してほしいと思いました!! あれが一番「そんなの聞いてない」だったわ…。そして、この脳内鬼教官のせいで、その後も様々なことが起きるのです…。
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妊娠出産時はとにかく回りから「アドバイス」をもらう機会が増えると思うのですが自分にとってキツイアドバイスも多く、しんどい状況になることもあります。
逆に!言ってもらえてよかった、知れてよかったアドバイスもめちゃくちゃあると思うので是非「自分はこんなアドバイスが助かったよ」を教えてもらえると嬉しいです!
#助かったアドバイス #ふうふう育児
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