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■産婦人科医・宋美玄先生の妊娠・出産Q&A
Q.妊娠中に特にたくさん摂ったほうがいい食品や成分ってありますか?
A.バランスのよい食事を。葉酸と鉄分と食物繊維とカルシウムも摂りましょう。
妊娠中にたくさん食べたほうがいい食品はありません。特定の食品だけをたくさん摂ると栄養が偏り、過剰症のリスクもあるため、むしろ様々な食品をまんべんなく摂ったほうがいいといえます。お腹の赤ちゃんに栄養を届けるため、できる範囲でバランスのよい食事を心がけてくださいね。とはいえ、以下の成分は少し積極的に摂るようにするといいでしょう。その場合も、できたら特定の食品ではなく、様々な食品から摂るとベターです。
<葉酸>
妊娠前から妊娠初期に、1日あたり400μg(0.4mg)くらいを接種すると、赤ちゃんの口唇が裂けたり、軟・硬口蓋が閉鎖しなくなる「口唇口蓋裂」といった先天性疾患のリスクを減らすことができます。ただし、先天性疾患を防ぐには、妊娠の2か月前〜妊娠3か月頃までの摂取が必要です。だいたい妊娠に気づくのは3〜4週目になってからなので、それから摂り始めるのでは遅いでしょう。妊娠を考え始めたら摂るようにしてください。厚生労働省は、妊娠可能なすべての女性に葉酸を摂ることをすすめています。
葉酸が多く含まれる野菜は、モロヘイヤ、からし菜、春菊などの葉物野菜。ただし葉酸は熱で分解されやすく、野菜に含まれる量が多くはありませんから、サプリメントを利用してもいいでしょう。その場合は、必ず摂取量を守ってください。
<鉄分>
妊娠中に、鉄欠乏性貧血になる女性は少なくありません。それは子宮に栄養を届けるために血液量が急激に増え、鉄分の必要量が増えるからです。レバーやほうれん草などの食品、またはサプリメントで補給しましょう。鉄分はマグロなどの赤身の魚にも多いのですが、大型魚は水銀量が多いので注意が必要です。
そのほか妊娠中は便秘になりやすいので、きのこなどの様々な野菜を食べることで食物繊維を、赤ちゃんの発達のためにも牛乳やチーズなどの乳製品や小魚でカルシウムを摂るよう少し意識するといいでしょう。
でも、妊娠中は疲れやすく、なかなか食事の用意ができないこともあるでしょう。食欲のないときもあるかもしれません。1週間ごとタームで考え、できる範囲でバランスをとり、無理はしないようにしましょう。そして、つわりの時期はなんでもいいので食べられるものを食べてくださいね。
<今回のポイント>
○バランスよく、まんべんなくが基本
○葉酸は妊娠2か月前〜妊娠3か月まで
○鉄分、食物繊維、カルシウムが不足しないようにしましょう

宋美玄『産婦人科医ママの妊娠・出産パーフェクトBOOK-プレ妊娠編から産後編まで! 』(内外出版社)
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