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■産婦人科医・宋美玄先生の妊娠・出産Q&A
Q.血圧が高めだと言われました。妊娠高血圧症候群になるかもと不安です。
A.妊婦健診にきちんと通ってチェックしてもらいましょう。治療もできます。
妊婦健診で血圧を測ったときに高めだと言われたら、心配になるかもしれません。妊娠高血圧というのは、妊娠6か月20週〜分娩後12週までに高血圧、または高血圧にタクパク尿をともなう合併症のこと。診断の基準は以下の通りです。
<高血圧>
収縮期血圧140㎜Hg以上/拡張期血圧90㎜Hg以上(片方でも)
<タンパク尿>
1日量300mg以上
※1回量で30mg/dl以上が+(偽陽性も含む)
妊娠高血圧症候群は、以前は「妊娠中毒症」と呼ばれていました。よく「太ると妊娠中毒症になるよ」と言われていましたが、肥満との直接的な因果関係はなく、原因ははっきりとはわかっていません。ただ、もともと以下のような人は妊娠高血圧症候群になるリスクが高くなることがわかっています。
○糖尿病・高血圧・腎臓病などの持病がある
○前回の妊娠で妊娠高血圧症候群になった
○BMI値が高い(肥満)
○多胎妊娠
この妊娠高血圧症候群になると、腎臓の血管がダメージを受け、タンパク質が漏れ出すためにタンパク尿が出ます。また腎機能が低下することで体内に水分がたまり、体がむくみます。もともと妊娠中は脚などの下半身がむくみやすいものですが、妊娠高血圧症候群の場合は顔や手などの上半身までむくむことも。それによって体重も増加したり、太って見えることがありますが、体重が増えたから妊娠高血圧症候群になるのではなく、妊娠高血圧症候群によって太ることがあるのです。
ですから、まずは妊婦健診を定期的に受けて、血圧検査や尿検査を受けましょう。さらに、むくみがひどかったり、そのほかにも目がチカチカしたり、頭痛がしたりする場合は、産婦人科で相談してみてください。実際に妊娠高血圧症候群と診断された場合は、妊婦さん自身の健康にも、お腹の赤ちゃんの発育にもかかわってくるので、安静にしたり、食事を調整したり、降圧剤などによる薬物療法が必要になる場合もあります。
なお妊娠高血圧症候群になった場合、次の妊娠時にも妊娠高血圧症候群になる確率は約50%。妊娠高血圧症候群になったことのない人に比べると約7倍のリスクとなります。出産後も定期的に検査しましょう。
<今回のポイント>
○原因ははっきりしていない
○持病や肥満や多胎妊娠でリスク増
○妊婦健診をしっかり受けて
○むくみや目のチカチカに要注意

宋美玄『産婦人科医ママの妊娠・出産パーフェクトBOOK-プレ妊娠編から産後編まで! 』(内外出版社)
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