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■産婦人科医・宋美玄先生の妊娠・出産Q&A
Q.妊娠糖尿病かもしれません。特に太っているわけでもないのに、なぜ!?
A.妊娠糖尿病の原因は肥満とは限りません。定期的な診察と治療を受けて。
妊娠糖尿病というと、「贅沢な食事をしているから」「太っているから」などと言われることがありますが、これは間違い。妊娠高血圧症候群もそうですが、必ずしも食べ過ぎや肥満によってなるわけではありません。じつは私も妊娠糖尿病になりましたが、もともと瘦せ型で、妊娠中の体重増加も少なかったのです。
妊娠糖尿病というのは、妊娠中に起こる糖代謝以上のこと。妊娠すると、お腹の赤ちゃんのほうに優先的に糖分を送るため、母体の糖代謝が悪くなって血糖値が上昇しやすくなり、特にもともと血糖値が高めの人は妊娠糖尿病と診断されることが多くなるのです。実際のリスク因子は、以下の通りです。
○血縁者に糖尿病の人がいる(遺伝)
○妊娠高血圧症候群である
○BMI値が高い(肥満)
○35歳以上
これらに当てはまる人は、妊娠したら早めに血糖検査をすることが大切です。妊娠初期の血液検査、妊婦健診のときの尿検査、妊娠7か月24週〜8か月28週に行うグルコースチャレンジテストで見つかることが多いのですが、必ずどの病院でも行うわけではありません。ぜひ確認してみてください。
実際に妊娠糖尿病と診断されたら、母体の血糖値が高いままだと、赤ちゃんが大きくなりすぎたり、低酸素状態になったり、将来的な肥満や生活習慣病のリスクが高くなるため、定期的な診察と治療を受けましょう。多くは血糖値をまめに測定し、食事療法や薬物療法などを行うことになると思います。インスリン注射が必要になる場合もあるでしょう。
ただ、妊婦さんの糖尿病治療で一番大事なのは、きちんと食べながら治療を進めること。食べないでいると、お腹の赤ちゃんに栄養を与えられないからです。コントロールすべきは体重ではなく血糖値なのを忘れないようにしましょう。
そして、妊娠糖尿病になった人は、次回の妊娠でも妊娠糖尿病になりやすく、将来的にも糖尿病になる確率が高いので、産後も定期的に血糖値の検査をしてください。
<今回のポイント>
○妊娠糖尿病の原因は肥満とは限らない
○リスクの高い人は早めに検査を
○診断されたら必ず治療を受けて
○食べながら血糖値のコントロールを

宋美玄『産婦人科医ママの妊娠・出産パーフェクトBOOK-プレ妊娠編から産後編まで! 』(内外出版社)
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