右派論壇誌がぶちまけた眞子さん・小室圭さんへの大きなお世話・地獄の光景を観察してみよう

文=早川タダノリ
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Getty Imagesより

●「日本人」のつくりかた(第11回)

 眞子内親王と小室圭氏の結婚にはまったく興味も関心もないので言及するのも苦痛だが、研究用として毎月購読している右派論壇誌が、この数カ月やたらと強い調子のひどい記事を掲載していたので、うんざり度はさらに加速した。

 こんな雑誌を普段から読んでいる人はきわめて少ないと思うので、ご参考までに、今年に入ってから右派論壇誌に掲載された「結婚」問題についての挙動を紹介しておこう。

「WiLL」(WAC出版局)の場合

2021年2月号
橋本琴絵「小室さん、男らしく身を引いて」
竹内久美子「皇族の公私を問う」

2021年6月号
竹田恒泰「小室圭氏の子息が天皇に 国民は許さない」

2021年7月号
櫻井秀勲「国民の心が天皇家から離れだした」

2021年8月号
竹内久美子「小室問題・秋篠宮家の決断しだいで暴動も」

2021年9月号
西尾幹二「宮内庁の無為無策を憂う」

2021年11月号
竹内久美子/橋本琴絵「皇族に恋愛の自由はない」

2021年12月号
竹内久美子「「ペテン師と駆け落ち」と報じられた恥」
竹田恒泰「天皇と国民の絆を断つ歴史的一大事」
谷本真由美「日本の命運は眞子さんと小室さんの良識頼み」
宇山卓栄「皇室破壊工作 「ならぬものはならぬ」となぜ言わぬ」

 右派論壇誌3誌のうちでもっとも「結婚」問題で記事量が多かったのが「WiLL」だ。睾丸の大小でリベラルかどうか思想を測定できるという謎の理論で知られる竹内久美子氏を何度もフィーチャーしているのが特徴。

 なかでも2021年11月号掲載の橋本琴絵氏との対談「皇族に恋愛の自由はない」には、他人に「恋愛の自由はない」と言い切る諸君はいったい何者ですか?と白目をむいた。この対談で竹内氏は次のように述べている。

やはり皇族はあくまで「公」の存在であり、「私」を持ち合わせない存在です。紀子皇嗣妃殿下は皇室に入る際に、「皇室とは」と聞かれ、「無私の心と存じます」と完壁なお答えを発せられました。その宗教的な伝統を一系で二千六百年以上、世界に類を見ない大王朝として守り続けてきました。そうした観点からも、やはり皇族の自由恋愛は認めるべきではないと思いますし、一般の感覚で皇室を語るべきではないと思います。

 「一系で二千六百年以上」続いているとか「世界に類を見ない大王朝」とか、竹内氏が信じ込んでいる奇怪な天皇観をふりかざして、赤の他人の「自由恋愛」を認めるべきではないと宣言する傲慢さよ。そればかりではない。橋本氏にいたっては、

女性皇族の自由恋愛を認めると、さまざまなリスクが生じます。婚姻前の性交渉に伴う性感染症、覚せい剤などの違法薬物を仕込まれるリスク、さらにはリベンジポルノなども万が一のリスクとして想定しなければ。また簡単に性行為ができるようでは、皇統の問題にも直結することです。

 徹底的に下世話かつ、大きなお世話だとしか言いようがない。こんなリスクなど個人が注意するべき問題であって、こんなことから「女性皇族の自由恋愛」がどーしたと語ってしまう神経には驚いた。しかも「女性皇族」と限定しているところがまた、なんとも言えぬ家父長制感を感じまくりである。ホントどうでもいいことを、ここまでアツく語ってしまう能力には驚愕せざるをえない。

「月刊Hanada」(飛鳥新社)の場合

2021年2月号
八幡和郎「小室母子の不可解すぎる履歴書」

2021年6月号
櫻井よしこ/竹田恒泰「「コムロ禍」という皇室の重大危機」

2021年9月号
八幡和郎「秋篠宮殿下ご夫妻、眞子様への進言」

2021年11月号
八幡和郎「眞子様の”失敗”を悠仁妃選びの教訓に」

2021年12月号
八幡和郎「眞子様ご結婚 究極の心配事」
竹田恒泰「秋篠宮家を全力で守れ」

 他方、「月刊Hanada」で「結婚」ネタの主力には八幡和郎氏が起用されている。例えば2021年12月号掲載の「眞子様ご結婚 究極の心配事」では、「安直に付き合いを始め、進展させた眞子様、身元調査もせずにブレーキをかけなかった両殿下をはじめ皇室の全ての関係者こそ責任重大だ」と八幡氏はなじってみせる。

 しかし、いったい何の「責任」なのかさっぱりわからない。なにげなく「身元調査」なるワードがここに顔を出しているが、赤の他人が結婚するのに、どうしてこの御仁が「身元調査」の必要性を説くのかも私には不可解だ。

「正論」(産経新聞社)の場合

2021年2月号
竹田恒泰「「皇女」制度は問題だらけ」

2021年6月号
竹田恒泰「「小室文書」はどこが間違いだったか」

2021年11月号
竹田恒泰「皇室の存亡担う新内閣の重責」

 「正論」誌の特徴は、この「結婚」問題についてもっぱら竹田恒泰氏が連載で書きまくっているぐらいで、量的には関連記事は少ないことだった。

 ところが、さらにバックナンバーをめくってみると、2020年2月号で宇山卓栄氏が、

現在、左派メディアの破壊工作が最も成功しているのが皇位継承問題です。彼らは世論を巧みに女系継承へと誘導しています。眞子内親王殿下のお相手として浮上した小室圭氏の一連の騒動を悪用して、秋篠宮家にバッシングが向かうように仕向け、「愛子さま待望論」を煽っているのです。(「保守政治家が皇統を壊す」)

 ……と書いていた。この界隈では、「結婚」問題で秋篠宮家がバッシングされる→愛子内親王が皇位を継承せよと世論が煽られる→「女性天皇」誕生のための左派の陰謀だ!ということになっているらしい。こんな問題まで「左派」の陰謀にされるとは、妄想の泉は尽きることがない。

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