OECD経済協力開発機構が先進国の賃金の最新(2020年)データを発表しました。各国の年収をドルに換算したもので、日本人の平均賃金は3万8515ドルでした。
アメリカの6万9392ドル、ヨーロッパではドイツの5万3745ドルと大きく差が付いています。アジアでも、例えば韓国は4万1960ドルです。(2015年に日本を抜きました)現在、日本はアジアのOECD加盟国中最下位となっています。
このデータは、物価や為替の関係も考慮された購買力平価でドル換算されているため純粋に日本は賃金が安い国と言えます。賃金を円換算したデータや、その他家計に関連するデータを過去と比べてみましたので確認していきましょう。
賃金(1ドル110円で円に換算した年収)
・日本:424万円(1990年から18万円UP)
・米国:763万円(1990年から247万円UP)
・韓国:462万円(1990年から246万円UP)
定期預金の金利

※日本銀行(1985.10~2021.8)HPより川部作成
1985.10~2000.2:定期預金の預入期間別平均金利(新規受入分)国内銀行(信託子会社・外銀信託を除く)1年以上2年未満/1千万円以上
2000.3~2021.8:定期預金の預入期間別平均金利(新規受入分)1年以上2年未満/1千万円以上
新聞購読料
1985年2,600円 → 2021年4,400円
国民年金保険料
1985年6,740円 → 2021年16,610円
国民負担率(年収に占める税・社会保険料の割合)※財務省
1985年33.9% → 2021年44.3%
消費税
1985年0% → 2021年10%
日本で起こっていること
1985年から2020年の間に、どのような変化があったのかをまとめましょう。
まず賃金が他の先進国よりかなり低い状況にあることが確認できます。他国と比べる必要はないと言う人がいるのですが、食料も資源も産業も世界との繋がりなくして成り立ちません。
定期預金の金利ですが、5%以上が当たり前の時代もあったのですが、2000年辺りからは低金利が長く続いています。
現在もデフレは続いているのですが……例に挙げた新聞購読料でも確認できるように、徐々に物価は上がっています。同時に、国民年金保険料、その他の社会保険料や税金の負担率もかなり上がっています。
つまり、年収がほとんど変わらない中、負担は増えているということです。
資産運用で少しでも増やしていけたらいいと考える人が増えていること、政府が確定拠出年金(iDeCoや企業型DC)や各種NISAで税制優遇をしている理由は、こうしたの状況をみると納得がいきます。
かつては、真面目に働いて定期預金でもしておけば豊かに暮らすことができ、お金も増えていきましたが、今はそうはいきません。
日本の現状を知り、古い世代とは違う考え方と行動をしていく必要がありそうです。連載の名前の通り、「生き延びるためのマネー」の勉強をすることが必要不可欠となってきているのです。
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