性教育本が大ブーム! なかには「子どもに読ませたくない」トンデモ本も…

文=山田ノジル
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4★不調時の対処法がどうかしている

 「生理の時のすごしかた」というテーマでは、ブルーな気分になるから「いつもより意識してニコニコする」と解説。どうかしていると思います。笑顔になるとハッピーになる脳内ホルモンが出る……との説明ですが、まさに子どもだまし。ちなみに年齢による女性の変化というパートで、60代を「生理がなくてもメイクやオシャレをして、可愛いおばあちゃんを目指そうね」と説明していましたので、この本には女はいつでも愛想よく好感度を得られるようにふるまわなければならぬ……というジェンダーバイアスも感じます。いやあ、絶対子に与えたくない。

 『15歳~』では、月経を明るくいいイメージでとらえると、月経痛が和らぐ! と謳う「子宮(お宮ちゃん)と対話ワーク」が紹介されています。ほかにもツボやアロマ、ヨガ、ストレッチ、ストレスを感じたら部屋を片付けろってアドバイスもありました。えーとコレ、何の本でしたっけ? なぜ、頑なに鎮痛剤が出てこないのか。マンガパートでは生理なのに鎮痛剤を飲んでいるというモブに、ホッカイロ&温かいお茶を差し入れたり、まずはリラックス! 体をいたわって! とアドバイスしたり。自然が一番・鎮痛剤は飲むべきでないってメッセージが隠れていそうで、子どもが薬にネガティブなイメージを抱かないか不安です(ちなみに同書でピルは推奨されています)。

5★性同一性障害を「病気」と書く、情報の古さ

 『13歳~』で「マメ知識」として掲載されている「性同一性障害」の説明も、アチャーとなりました。「病気」だと書かれていましたので。これは10年以上前の本なので、その当時は性同一性障害への認識も情報も今とは違ったのでしょう。しかし当時でも「疾患として扱うのは不適切」という声はあったでしょうし、現在も流通している本ですから何かしらの補足を加える必要があるのでは(※国際疾病分類「ICD-11」では2019年の改定から、性同一性障害は性別不合となり、「病気」「疾患」ではないとされています)。

 これからの時代を生きる子どもたちにこの本を与える場合は、性同一性障害も同性愛も決して「病気」ではないと教え、親子ともに情報をアップデートしなくてはなりません。ちなみに同書は「本書を用いた運用は、お客様自身の責任と判断によっておこなってください」とありますので、ちょっと乾いた笑いが漏れますね。あはは。

6★性教育に便乗して、トンデモ多すぎ

 「悪口やイヤな考えは気のパワーを落とす」「腰回しストレッチでホルモンバランスが整う」「有機栽培や無農薬の食材にこだわると、さらに強力なパワーを得られる」「20代は恋愛で女性ホルモンが放出され、肌も美しくなる」「心が温かくなったり元気が湧いてくる食べ物はローフード」「白砂糖は体を冷やすからNG」「食品添加物が入っていると体もふわふわ、ぽにょぽにょになる」

 これぜ~んぶ、特殊な界隈での思想であると明記してほしい! 恋愛しようがしまいが健康ならば女性ホルモン出ますってば。助産師って、医学的な知識も学んで得る資格ですよね~? 食事療法や東洋医学も結構ですが、科学的な説明が必要不可欠な性教育の場で、いろいろな界隈の思想をごちゃまぜにされるのはノーサンキューです。

7★「女の性欲」はスルー?

 男女の性差について、『13歳~』でこう説明されています。男の子ってHな話ばかりしてる! イヤらしい! 嫌悪感を覚えるあゆみちゃん。でも、男性は性欲に関わる「テストステロン」が女性の10~20倍あるから、本能の違いで男の子は好きになったらすぐセックスしたいって思うもの。一方女の子は「好きな人と一緒にいる雰囲気を考えただけで幸せになれる生き物である、と締めくくられます。これを読んだ子どもは、性欲旺盛な女の子は規格外って思ってしまいそう。そして男の子描写のほうもステレオタイプの決めつけでしかなく、問題アリアリ。

 マスターベーションについては「うしろめたさを感じたり、自分を責めたりする必要はないけれど、世の中にはもっと楽しいことがたくさんあるから、ぜひ、そこに目を向けてほしいな」ときました。ってそれ、ほぼ「よくない」と言ってるのと同じです。女の性欲をなかったことにする古い時代すら匂ってくる、このトーン。

 この本から伝わってくる模範的な小学生像は、自然な食事を規則正しくとり、性に関しては保守的で、可愛らしい恋愛を夢みている女の子。いつもニコニコ皆から愛され、幸せなお母さんになる将来をちょっと想像しはじめた……という感じでしょうか。いかにも保守的な保護者が安心しそうなキャラ設定ですが、これで当事者たちに大事なことが伝わるのかどうか。同書の主張する「ハッピーな性」とは何なのか、激しく疑問を覚えます。著者はあとがきで「子から子へと命をつなぎ、土に還ることがこの世に存在する意義」と言い切っていますので、少なくとも「自分の性と再生産に関して自分で決定をする権利」、いわゆる「リプロダクティブ・ライツ」とは別の思想なのかと思わせる性教育本なのでした。

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 同シリーズを読むと、性教育本ってどれもこんなんか!? と絶望的な気持ちになりますが、比較的新しく出版された本は、ほぼほぼ安心できるものばかりでした(当社比)。

 『子どもと性の話、はじめませんか? からだ・性・防犯・ネットリテラシーの「伝え方」』(宮原由紀著、高橋幸子監修、CCCメディアハウス)では、ちゃんと「マスターベーションは男の子だけに限りません。自然なことであり、性欲をコントロールするために大切な行為」とあり、『産婦人科医宋美玄先生が娘に伝えたい 性の話』(宋美玄監修・原著、カツヤマケイコ、小学館)では、今回の本でモヤモヤした部分が見事にバッサリ切り捨てられていたので、厄払いできたかのようなスッキリ感。「親の固定観念を押し付けてはいけない」「メルヘンや神秘を持ち出すのもよくない」「(セックスを)したくなったらしてもいい(ただし責任のとれないうちは避妊をしっかりと)」「10代の性交を否定しない」。ああ、保護者として安心するう……。

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性教育本が大ブーム! なかには「子どもに読ませたくない」トンデモ本も…の画像2 ウェジー 2021.09.16

 性教育本を「読みやすい」「かわいらしい」だけで選ぶと、うっかりトンデモ情報を子どもに与えてしまうことがよ~くわかっただけでも不幸中の幸いでしょうか。書籍だけでなく、動画や雑誌、オンラインセミナーなどでも、このような罠は山ほどありそうです。これから性教育本を手にする保護者の皆様、子に与える情報はよ~く吟味したほうがよさそうです。

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性教育本が大ブーム! なかには「子どもに読ませたくない」トンデモ本も…の画像2 ウェジー 2021.11.15

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