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Q.産後1か月は体を休ませたほうがいいって本当? なぜでしょうか?
A.骨盤や骨盤底筋群、疲れた体をしっかり回復させるためです。
産後1か月は体を休ませたほうがいいというのは本当です。この場合の休ませるというのは、できるだけ安静に横になって過ごすほうがいいということ。その最大の理由は、骨盤や骨盤底筋を回復させるためです。
妊娠中、大きくなった子宮や赤ちゃん、胎盤、羊水などを、やや開いた骨盤と骨盤底筋群が支えています。つまり、骨盤と骨盤底筋群には、普段と比べものにならないほどの負荷(重さ)がかかるのです。その後の出産では、さらに骨盤が大きく開き、骨盤底筋群が伸びて傷ついてしまいます。
でも、いったん出産を終えると、子宮は急激に収縮し、授乳をすることで収縮がより促され、横になって安静にすることで骨盤もスムーズに閉じ、骨盤底筋群も回復していきます。ところが、産後ずっと立ち仕事をしたりすると、垂直方向に負荷がかかるため、出産で傷ついた骨盤や骨盤底筋群の回復が遅れ、尿漏れなどの原因になることも。なお、ときどき「産後の開いた骨盤を戻す」という整体などがありますが、手で戻すことはできませんし、自然と閉じていくものです。
さらに産後すぐは骨盤や骨盤底筋群だけでなく、体全体にダメージを負った状態ですし、疲れやすいものです。その状況で慣れない子育てを始めることになりますし、ホルモンの急激な変化もあるため、精神的にもバランスを崩しやすいもの。産後うつなどになるリスクもありますから、そういう意味でも無理をしないことは大切です。
ですから、たとえ他人に「私は産後すぐから働いたのに」「家事や子育てをきちんとしないと」などと言われても、なるべく体を休ませるようにしてください。配偶者や親に頼れない場合は、事前に産褥入院を手配する、または産褥ヘルパーをお願いするなどしてもいいかもしれません。なるべくゆっくり過ごしてください。
<今回のポイント>
○産後1か月はなるべく横になって安静に
○骨盤や骨盤底筋群、体を休ませて
○産後うつにならないためにも無理は禁物

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