もともとは仲よしなのに子育てを始めてからパートナーとの衝突が増えた、というのはよく聞く話。その理由は、どちらかが悪いなどではなく、赤ちゃんはかわいいけれど、育児自体は重労働だからかも。そこで、漫画家・青鹿ユウさんが夫婦仲よく育児していくためのハックを、ご自身の経験を振り返りながら探っていく連載がこちら! 今回は早めから二人三脚することの利点について。
「里帰りせず、最初から夫婦で育児するメリットは?」と聞かれるたびにオットも私もよく言うのが、「新生児は育児スキル獲得ボーナスステージだよ! 男女問わず、育児する人にとって経験値積みやすいよ!」ということです。新生児…それは育児におけるチュートリアル。経験値獲得ゴールデンゾーン!といっても過言ではないと思います。逆に、このチュートリアルなしで回りのレベルが上がってから、自分1人だけレベル1で参戦する育児は別の大変さがあるな…と私は思いました。
第1育児ステージ「排泄物」
新生児は、1日に約10~13回おむつを替える必要があるといわれています。この時期にせっせとおむつを替えることにより、テープおむつマスターの称号が無理なく与えられるのです。称号獲得までに必要な技能はいろいろありますが、主に「おむつ替えに必要な道具を理解して用意できる」「おしりがかぶれないよう丁寧に拭きとれる(必要があればシャワー等で流せる)」「漏れないようにおむつの腰や足にあたるギャザーをしっかり立たせたり外に出すことができる」(あれが内側に入っていると漏れ率上がるので、ギルティ案件になりやすい)かと思います。
そしてよく聞く「うんちのおむつは替えられない~だって臭いし無理だよw」とかいうバカな意見も新生児なら心配なし! 新生児のうんちは臭くない! ほぼ炊きたてごはんのにおいです(においがうんこっぽくないと、かなり抵抗なくなるよ!)。色も黄色っぽくゆるゆるで「ザ!うんこ!」感があまりない。なので抵抗感もレベル1で済みます。そのうえ1日に何十回も替えるチャンスがあるので、おむつを替えるだけでなく、おむつの場所、どのペースで減るか(=在庫に明るくなる)、おむつの処理、おむつ管理の熟練度も無理なく上がるわけです。
第2育児ステージ「吐き戻し」
育児をしていれば必ずぶちあたるのが、子どもの吐き戻し。最初は基本的に母乳かミルクなので臭くない! 固形物もない! 嘔吐への抵抗があっても対処しやすいです。そして母乳やミルクのあと、抱っこでげっぷをする時に吐き戻しやすいので、吐き戻しを肩で受け止めたりする姿勢になるのですが「まぁ、そういうもの」という意識が産まれやすく「赤ちゃんを落ち着かせてから汚してしまった衣服の行く末を考える」というスキルが獲得できます。
その後、やはり必ず訪れる最初の中ボスイベント「看病」の時に「子どもが様々な所で吐いてしまっても、落ち着かせてから汚してしまった衣類の処理を振り分ける」というスキルがもれなく発動! さらなるレベル獲得へと繋がります。汚物処理も、まず吐き戻したミルク処理からなので、ゆっくり自分のスキルを上げていくことができるのです。
第3育児ステージ「泣き声」
子どもは泣くもの、騒ぐもの。成長に合わせて、その声はどんどん大きくなります。新生児の泣き声もそれはそれで別のキツさがありますが、このキツさの大部分は「1人で24時間、休まずに永遠と終了期限なく相手をした場合」だと思うので、泣き声を受け止めてくれる他の人がいる(時にギブアップできるという環境)状態での「泣いた赤ちゃんをあやす」という訓練は安心してレベルアップをはかりやすいです。赤ちゃんの体重も軽いので「家の中をうろうろしてあやす」「スクワットであやす」など、赤ちゃんによって違う固有の必勝パターンも見つけやすいはず。
そして、新生児が一番ふにゃふにゃで取り扱いが怖い! 我が家は桃か豆腐かといった具合におっかなびっくりお世話をしていたのですが、毎日、毎週、毎月とすこーーしづつ赤ちゃんの体がしっかりしていき、同時に親は慣れてお世話レベルも上がるので「新生児のころに比べたら、安心してお世話できる日が増えてきている」と感じられました。これは、一番最初のふにゃふにゃを体験したからこそだと思っています。
獲得できる育児スキル「自信」と「2人の思い出」
こうして新生児期から長時間、子どもをお世話したことによって得られるのが「自信」です。毎日、子どもの様子や体調のゆらぎもつぶさに見てきているので「この時はこう」といった「うちの子マニュアル」がしっかり体に馴染むのです。それを知っているという自信が何よりも大きいなぁと思っています。
産前は「この自信は母親だけが得られるものなのかな?」と思っていたのですが、そんなことはありませんでした。私と同じように育児をスタートしたオットも同じように自信をつけました。我が家においては、単純に日々関わった時間こそが、私とオットに自信を与えてくれたと思います。そして2人とも育児初心者なので、同じ目線で悩んだり試行錯誤して戦友のように我が家のパターンを手にいれたことは、子どもが何歳になったとしても夫婦2人の思い出として残る、と思いました。産後の恨みは一生といいますが、産後に2人で取り組むことのできた試行錯誤の記憶も一生だと思います。
と、いうことで今回のハッシュタグ企画はこちら!
<今回の投稿募集>
夫婦で育児することのメリットを、ぜひ教えてください。
「夫婦で子どもに関する話をすることが増えて、より楽しくなった! 仲良くもなりました」「夫がしっかり育休をとり、子育てをスムーズに始められた!」など、なんでもOKです。お待ちしています。
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