万年筆インクでつくる初めてのスタンプ台「インクの空き地」

文=出雲義和
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 近年、万年筆インクを使った文房具が話題になっている中で、墨や書道具の老舗メーカー呉竹株式会社から発売された「からっぽペン」は、自分のお気に入り万年筆インクで作るペンとして、第4回「文具女子アワード」の優秀賞を、「文具屋さん大賞2021」では大賞を受賞する大ヒット商品となり、いまでは100円均一ショップでも同じコンセプトのペンが販売されるほど、一般にも広く認知されるようになりました。

 「からっぽペン」がヒットした背景には、「インク沼」と呼ばれる色とりどりの万年筆インクに魅せられた文具ファンが、万年筆の筆記だけではなく、カリグラフィーやガラスペンなどに新しい楽しみ方を求めているからかもしれません。

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インクブームの産みの親ナガサワ文具センターのオリジナルインク

 この「インク沼」と呼ばれる、万年筆インクブームのきっかけとなったのは、神戸ナガサワ文具センターが2008年に発売した「神戸インク物語」というご当地インク。以降、大手文具メーカーをはじめ、各文具店からも土地柄を活かしたオリジナルインクなどが発売されるようになりました。

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万年筆インクでつくるはじめてのスタンプ台

 インクブームの産みの親であるナガサワ文具センターが、万年筆インクを使う新しい文房具「インクの空き地」を2021年6月に発表しました。

 「インクの空き地」は、インクの入っていない真っ白なスタンプ台で、自分が持っている万年筆インクを使って、オリジナルのスタンプ台をつくることができるはじめての製品として、発売と同時に多くの万年筆インクファン、特に女性からの支持を集めています。

「インクの空き地」の楽しみ方

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万年筆インク愛好家なら、ほとんど家にあるものでまかなえます

 自分オリジナルのスタンプ台を楽しむために、必要なツールは「インクの空き地」の他に、万年筆インクとスタンプ(ハンコ)、そしてスポイトがあればOKです。

 本体にスポイトは付属していないので、別途用意する必要はありますが、ダイソーなどの100円均一ショップなどで販売されているコスメ用のシリンジなんかも便利ですので、もしお持ちでなければこの機会に用意しておくとよいでしょう。

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スポイドを使ってパッドにインクを入れるだけ

 買ったばかりの「インクの空き地」のスタンプパッドは真っ白でインクは含まれていません。

 はじめて使用する際は、スポイトなどで万年筆インクを染みこませていきます。市販のスタンプ台は全ての面にインクが含まれていますが、「インクの空き地」は使いたいスタンプのサイズにあわせて万年筆インクの量を調整できます。

 これで、あなただけのオリジナルカラースタンプ台が完成します。

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オーソドックスな1色スタンプ台

 オーソドックスな使い方は、好きな万年筆インクをインクパッドに染みこませて、あとはスタンプを押すだけです。

 シンプルですが、もっと用途の多い使い方で、まだ万年筆インクをそれほど持ち合わせていないひとにでも、十分に楽しめる使い方です。

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自然なグラデーションが楽しめる使い方

 「インクの空き地」の醍醐味は、いままでのスタンプ台ではできなかった、複数の色をひとつのスタンプ台で扱えることです。

 インクが重なり合う部分はそれぞれの色が混ざり合って、単色インクは再現できない、自然なグラデーションの美しいスタンプを押すことができます。

 これこそが「インクの空き地」にしかできない大きな魅力のひとつで、グラデーションの配色を考えるだけでも楽しい時間を過ごせます。

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混ぜ合わせることを前提に作られた万年筆インク

 複数の色を使う場合に気をつけなればいけないことは、乾電池のように異なる種類の電池(アルカリ電池やマンガン電池など)を一緒に使えないのと同様に、万年筆インクも基本混ぜて使うことは品質の劣化につながる可能性があります。

 今回使用した、プラチナ万年筆の「ミクサブルインク」は色を混ぜ合わせて楽しめることを前提で作られたインクなので問題はありません。また、ナガサワ文具センターの「神戸インク物語」もミクサブルインクと同様に色を混ぜても心配の無い万年筆インクです。

 今回のテストには、色の3原色CMYK(シアン・マゼンタ・イエロー)に合わせてミクサブルインク(Flame Red/Aqua Blue/Sunny Yellow)を使いましたが、これ以外の組み合わせもぜひ楽しんで欲しいと思います。

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交換できるスタンプパッドも発売中です

 違う色のスタンプ台にしたい場合や、複数の万年筆インクを使ってグラデーションを楽しみたい時には、別売の交換パッド(3枚入り)が便利です。

 交換したスタンプパッドも、別に保管しておけば、再び使用する際にインクを補充すれば、元どおり使うことができます。

まとめ

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 万年筆インクという新たらしいカテゴリーの趣味を産んだナガサワ文具センターは、万年筆インクの販売だけでなく、イベントでカリグラフィーや消しゴムハンコなどのワークショップを開催して、より万年筆インクを楽しめる提案を行ってきました。

 今回の「インクの空き地」は、筆記のための消耗品ではなく、万年筆インクの可能性をより広げた製品として、万年筆ファン、万年筆インクファン、手帳好きユーザー、スタンプ・ハンコ好きなユーザーなど、ほとんどの文房具好きのひとたちの暮らしの中に、もう1色の華を添えてくれる文房具です。

製品 インクの空き地
販売 株式会社ナガサワ文具センター
製品 インクスタンプ台
価格 1660円(消費税込み)

商品 交換用スタンプパッド
価格 990円(消費税込み)

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