日本政治を変えるためには、社会そのものを変えなければいけない

文=平河エリ
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写真:つのだよしお/アフロ

連載「議会は踊る」

 この連載は、今日で最後となる。30回近くも毎週、秋からは隔週で様々な政治問題について論じさせてもらった。何よりまず、wezzy編集部に心から感謝を申し上げる。

 最終回として、日本政治の向かうべき方向について改めて考えたい。

 バラク・オバマは、かつてドナルド・トランプを評してこう言った。

「トランプは症状であって、原因ではない」

 日本政治の機能不全もまた、症状であって、原因ではない。日本政治の機能不全は、政治セクターだけの問題ではなく、日本社会全体の機能不全が現れたものである。

 この連載では何度も、政治におけるジェンダー格差の問題を取り上げてきた。しかし、政治を追求する側は果たして、ジェンダー平等を実現できているのだろうか。

 朝日新聞デジタル(2021年7月1日)によれば「民放とNHKを合わせた6局の全役員のうち女性は5.7%、全国紙5社では4.9%。上場企業3780社の平均6.2%を下回る」とある。

 あるいは、非正規雇用の問題もそうである。新聞社、テレビ局、雑誌社……。日本のメディアは、最も正規雇用と非正規雇用の格差が大きい業種の一つではないだろうか。

 メディアは声高に政権の問題を追求しているが、政治はあくまで社会の写し鏡である。政治の問題を考えるということは、同時に社会の問題を考えるということだ。

 世襲政治家の問題も、度々議論になる。もちろん、世襲政治家がこれほど多い国は日本をおいてなく、これ自体が問題と言えるだろう。

 一般企業に目を向ければ、ファミリー経営の企業は少なくない。テレビ局を中心としたメディアにもいわゆる「コネ採用」の正社員が少なくないだろう。つまり、世襲政治家の存在は、日本社会における血縁関係、コネクションの重要性を示すものなのだ。

 松下幸之助はかつて「国民はみずからの程度に応じた政治しかもちえない」と語った。

 つまり、政治を変えるためには、日本社会そのものを変えなくてはいけない。

 ジェンダー、気候変動、人種差別、人類が今直面するテーマは深刻である。そして、加速的に人口が減っていく日本の中で、我々は大きく社会を転換させなくてはいけない。残念ながら、日本社会の変革は極めて遅く、世界の変革に遅れているのが事実だ。

 読者の皆様の中に政治を変えたいと思う人がいるとすれば、自らの周りを変えていくことを考えてほしい。

 小さな変化を起こすこと。そこから、全てが変わっていく。

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