大人になった娘に「あのとき、どう思ってた?」と養子としての本音を聞く理由

文=うさぎママ
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GettyImagesより

 特別養子縁組によって親子になった著者夫婦と娘のアンちゃん。幼い頃から養子であることを伝える「真実告知」をし、確かな親子関係を築きました。出生時の事情などを含む「最後の真実告知」も終え、子育てはひと段落。大人となった娘と母は友達のようになりました。

第4章 花ざかりのアン

 大人になったアンと私は、まるで友だちのような関係になりました。

 私の大のお気に入りのアーティストのライブに一緒に行ったり、アンがネイリストとして就職してからは練習台になったりと、何かにつけて口実をつくってはアンの家へと泊まりがけで出かけました。あまり会えないときにも「お母さん、今、大丈夫?」と夜遅くにかかってくるアンからの電話で、深夜まで語り合うこともあります。

 成長したアンとなんでも相談し合い、楽しくおしゃべりできる間柄になれたことは、本当に何よりも嬉しく、同時にとても驚いた出来事でした。こんなに楽しい遊び相手になってくれるなんて、思ってもいませんでしたから。

 ゆっくり話を聞いてくれて、押しつけがましくない返答をくれて、なんでもわかってくれる。夫のことは、娘だけにこぼすグチもあるくらい。いわば親友のようです。もしかしたら、娘にはちょっと迷惑かもしれません。やさしい子なので「仕方がないなあ」と受け入れてくれているのかも⁉︎

 ここからは、そんな大人になったアンとのおしゃべりを公開します。「あのとき、本当はどう思っていたの?」など、大人になった今だからこそ質問できる娘の気持ちを聞いてみました。気ままなおしゃべりではありますが、「大人になった養子」の本音を知ってもらえればうれしいです。

 ただ、養子縁組当事者の場合、もしかしたら気にさわる内容もあるかもしれません。私のモットーである「よそはよそ、うちはうち」なんて思うのは無理という方、デリケートな方にはこの先はおすすめできません。

 よその方を傷つけることは避けたいと思っていますが、その危惧を覚えつつ、どうしてアンの意見を紹介させていただくのか。それはアンに似たお子さんを育てている方の中の、たったおひとりにでも役立つかもしれないと考えているからです。

 幼い頃はもちろん、反抗期の激しい母娘バトルのときにも「産んでいない負い目から、叱ることをためらう気持ち」がこれっぽっちもなかったことで、また真実告知もしてきたことで、アンの信頼を得たと自負し、まあまあの子育てをしてきたと慢心していた私。

 それでも振り返ると、よくないこともたくさんしました。そして娘が大人になってから、彼女の考えを知って、ドキッとしたり反省したりしたこともたくさんあります。

 いつだってアンは言葉を選んで、私を責めるような言い方をしませんでしたが、一時期、私のやり方に「いい加減にして!」と思っていたことがあったかもしれない。いえ、絶対にありました。覚えがありますから。

 子どものタイプはいろいろですが、同じ轍を踏まないための参考にしていただけたら幸いです。

次回更新は3月21日(月)です。

特別養子縁組について

 特別養子縁組は、子どもの福祉のために(親のためではなく)、子どもが実親(生みの親)との法的な親子関係を解消し、養親(育ての親)と実子に等しい親子関係を結ぶ制度です(※)。そんな特別養子縁組制度が成立した翌年の1988年、うさぎママ夫妻は児童相談所の仲介で0歳の娘・アンちゃんと出会い、親子になりました。

厚生労働省 特別養子縁組制度について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000169158.html

※この連載は、書籍『産めないから、もらっちゃった!』(2012年、絶版)の改定版を公開するものです。

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