
GettyImagesより
特別養子縁組によって親子になった著者夫婦と娘のアンちゃん。幼い頃から養子であることを伝える「真実告知」をし、確かな親子関係を築きました。大人となった娘と母は友達のような関係になり、これまでのいろいろを本音で振り返ることができるようになって……。
第4章 花ざかりのアン
書籍『産めないから、もらっちゃった!』は、じつは最初は同タイトルのブログでした。2011年に特別養子縁組のことを書こうと始めたものです。
そのブログについて、娘に少しは話していたのですが、当初は「お母さんの秘密だもんね」と、タイトルや詳しい内容については話していませんでした。
でも、アンから電話で「お母さんのブログを読みたいよ」と言われると、見せないわけにもいきません。そのときの会話は、こんな感じになりました。
娘「ブログのタイトルは何にしたの?」
私「あ……あの『産めないから、もらっちゃった!』って……」
娘「え? それって自虐っぽい。ウケる〜(笑)」
私「わかりやすくしただけだよ。特別養子縁組に興味を持っている人がアクセスしてくれて いるし、ちょっとでも役に立つかもだし」
娘「うん、確かに。お母さん、ブログタイトルをつけるの、うまいかも!」
アンに褒められちゃいました。素直に喜んでおくことにします。この時点では、まだブログを読んでいない娘でした。読んだあとの感想を聞くのはちょっと怖い気もしましたが、後日、アンから次のようなメールが届きました。
ーーーーーーーーーーー
お母さんのblog、すごくよかったよ。
私は養子だからって、どうこう思ったことはほぼないけど、生まれたときにひとりで、だれからも愛おしく思われてなかったと思うと、悲しくなるよ。
でも、今の家族が当たり前すぎて、自分のこととは思えないけどね。
なんか第三者のようにかわいそうだな……って思うと、何か泣いちゃいます。
でも、お母さんのblogを見て、そのとき!というより、それよりずっと前から私が来るのをワクワクしてくれてた人(お父さん&お母さん)がいてくれてたと思うと、なんか報われたような気がしてうれしかったよ。
こういう話は、私が結婚するときに「お世話になりました」な感じで言おうかと思ったけど、いい機会やし、言っちゃいます。
うちの子でよかった!
だれよりもHAPPY BABYだよ。
ありがとう。
あと、私が見てるからって、気を遣ったりしないでね〜。たぶんみんな養親のリアル体験談をききたいと思うし、バシバシ本音書いていこ〜。
ーーーーーーーーーーー
ほら、アンが「本音書いていこ〜」なんて言うから、本にまでメールを載せちゃった。
このメールには、夫も大感激でした。アンの小さい頃の思い出話やらなんやら、語りに語って……、私は午前3時までお付き合いするはめになりました。
次回更新は3月28日(月)です。
特別養子縁組について
特別養子縁組は、子どもの福祉のために(親のためではなく)、子どもが実親(生みの親)との法的な親子関係を解消し、養親(育ての親)と実子に等しい親子関係を結ぶ制度です(※)。そんな特別養子縁組制度が成立した翌年の1988年、うさぎママ夫妻は児童相談所の仲介で0歳の娘・アンちゃんと出会い、親子になりました。
厚生労働省 特別養子縁組制度について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000169158.html
※この連載は、書籍『産めないから、もらっちゃった!』(2012年、絶版)の改定版を公開するものです。