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3月31日、米国ネットフリックスが日本テレビ『はじめてのおつかい』第1シーズン20話のストリーミングを開始した。日本で30年のロングランとなっている同番組が今や32言語の吹き替えにより世界190カ国と、まさに地球規模で観られているのだ。
ストリーミング開始と同時にアメリカでは文字通りの話題沸騰となった。SNSで「可愛い!」「小さいのに賢い」「泣いてしまった」「もっと観たい」と絶賛され、同時に「危ない」「虐待だ」と批判の声も上がっている。朝のニュース・ショーやトーク番組だけでなく、ニューヨーク・タイムス、英国のガーディアンズなど大手新聞も取り上げている。
日本ではすっかりおなじみの『はじめてのおつかい』が、アメリカでなぜここまで議論となっているのか。以下、番組の存在は知っていたものの、今回初めて観た筆者がアメリカ視点で議論の背景を探ってみる。
8分間に感情のジェットコースター
(※以下、ネタバレが含まれています)
『はじめてのおつかい』の英題は「Old Enough!」となっている。意訳すれば「もうお姉ちゃん/お兄ちゃんだもん!」だろうか。日本で2008~2019年に放映された中から20話が選ばれている。子供の年齢は2~5歳だが、5歳ともなると子供を取り囲むように撮影するカメラ隊に気付くとのことで、3~4歳児が多い。
シリーズ第1話は鹿児島に住む2歳9カ月の男児、祐規ちゃんだ。わずか8分足らずのエピソードに、視聴者を驚かせ、ハラハラさせ、笑わせ、そして和ませるポイントがいくつも詰まっている。
- ・まだ赤ちゃんの名残もある祐規ちゃんが、歩くとピコピコと音の出るサンダルを履き、片道1キロを1人で歩いて迷うことなくスーパーマーケットに着く
・言いつけられた3品を忘れずに買う
・売り場がわからず、店員さんに「お花どこにありますか」と聞く
・道を渡る時はお母さんお手製の黄色い「止まれ」の旗を差し出す
・自分の背丈ほどもある花束を引き摺って歩くのはご愛嬌
・家に着くと玄関先でお母さんに誇らしげにスーパーのレシートを見せる
・買ってきた食材をお母さんが調理し、お父さんを含む親子3人で食べる
・淡々とおつかいをこなした祐規ちゃんが、ここで初めて満面の笑顔を見せる