アジア系の多様性を語るアメリカの絵本8選~子供たちのハピネスのために

文=堂本かおる
【この記事のキーワード】

When the Cousins Came(イトコたちが来た日)日系

アジア系の多様性を語るアメリカの絵本8選~子供たちのハピネスのためにの画像4

When the Cousins Came』(Holiday House)著・画:Katie Yamasaki

 ライラは日系人の女の子。今日はイトコたちが泊まりに来た。イトコの名前はロージーとタケオ。ロージーは髪をフワフワのボールみたいにくくっていて、タケオはモヒカン。2人はライラのまっすぐな髪をタケオみたいにしようと頑張ったけれど、なんだかうまくいかない。ライラは日系と白人のミックス、イトコたちは日系と黒人のミックスなのだ。夕食は麺類。ライラはお箸が苦手だけれど、イトコたちはスルスル食べている。文化や習慣の違いは一緒に遊んでいる時にも時々出てくる。けれど3人はイトコ同士、親族ならではの絆で結ばれているのだ。

Ninja Red Riding Hood(ニンジャ赤ずきんちゃん)???

アジア系の多様性を語るアメリカの絵本8選~子供たちのハピネスのためにの画像5

Ninja Red Riding Hood』(G.P. Putnam’s Sons Books for Young Readers)著:Corey Rosen Schwartz 画:Dan Santat

 アメリカに定着したアジア文化はいくつもある。いまやオシャレな健康ドリンク「コンブチャ」を知らない人はいないだろう。ただし、アメリカのコンブチャは昆布茶ではなく、いわゆる紅茶キノコを指す。こうした誤解・間違い・勘違いはいくつもある。本作は「赤ずきんちゃん」と、アメリカの子供にすっかり浸透したニンジャを合体させたお話で、絵が楽しくストーリー展開のテンポもよく、楽しく読める。だが、主人公の少女はニンジャ・スクールに通い、日本語で「おたずねもの」と書かれたポスターまで登場するにもかかわらず、中国風の服を着ている。他のページも日本・中国・西洋が混同しまくっている。そのカオスがまたおかしいとも言えるのだが。ここで紹介する他の絵本と異なり、著者は非アジア系である。

Paper Son(違法入国書類の子)中国系

アジア系の多様性を語るアメリカの絵本8選~子供たちのハピネスのためにの画像6

Paper Son』(Schwartz & Wade)著:Julie Leung 画:Chris Sasaki

 20世紀初頭、アメリカはごく一部の高等民を除き、中国からの移民を認めていなかった。そこで多くの中国人が身分を偽る書類を作り、米国移住を試みた。本作の主人公は実在のアーティスト、タイラス・ウォンだ。タイラスが子供の頃、父親が偽の書類を作って渡米。なぜか幼いウォンだけが入国審査に引っかかり、移民局に独りで留め置かれた。やがて審査をすり抜けたタイラスはアメリカで成長し、画家を志望する。墨絵の画法を取り入れた独特の作風がウォルト・ディズニー本人の目に留まり、タイラスは『バンビ』の背景画を任される。タイラスは多くのアーティストに影響を与えたがディズニーは敬意を示さず、やがて解雇される。以後、タイラスは自身のアートを自由に追求し、その名を知られることとなる。アメリカで「不法移民」が果たした業績と国への貢献を考えさせられる作品。

1 2 3

「アジア系の多様性を語るアメリカの絵本8選~子供たちのハピネスのために」のページです。などの最新ニュースは現代を思案するWezzy(ウェジー)で。