娘と母の本音トーク:母娘でもまったく違う! ほかの特別養子縁組親子との交流をしたときの捉え方

文=うさぎママ
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GettyImagesより

 特別養子縁組で母になった著者。娘のアンちゃんに幼い頃から養子だと伝える「真実告知」をして確かな関係を築いてきました。そしてアンちゃんが大人になってからブログをきっかけに、他の養子縁組親子との交流を開始。その交流会について親子で語ってもらいました。

第4章 花ざかりのアン

 じつは、ブログ「産めないから、もらっちゃった」を始めてから、ほかの養子縁組親子さんたちと交流するようになりました。その交流会に、アンが参加することも。一緒にランチしたり、いろいろとお話ししたり、とても楽しい時間を過ごしました。何より初対面のぎこちなさや遠慮がないことにびっくり! ブログって不思議な人間関係を育ててくれるところなんですね。

 さて、養子である小さな男の子や女の子と童心に返って遊んだアン。あとで感想を聞いてみたら、私との温度差というか捉え方のちがいに、やはり母娘とはいえ別個の人格なんだなあと改めて感じ入ったものでした。

娘「ちっちゃい子が、わ〜って走ってきて甘えてくれて、もうめちゃくちゃかわいかった! たまらないね! そして、どの子もやっぱりお母さんがいちばん好きなんだとわかって、それもまたかわいかったあ」

私「同じ養子縁組仲間だからかわいいって気持ちはあるの?」

娘「え? うううん。私の中では、ぜ〜んぜん関係ないから。お母さんと一緒に養子縁組親子と会うのも、単なる“お母さんの友達親子”と会うって感じ。ブログを始めてから、ママは養子であることについて改めて考えたりしてるけど、私は特別な関心があるわけじゃないんだ。あ、お母さんと一緒に養子関係のテレビ番組を見たけど、それも普通に興味があるだけ。私と関わりのあることっていうふうには思えないんだよね」

私「ふ〜ん。そうなんだ。案外クールだね」

 もちろん、養子への偏見や誤解がなくなることを祈っているし、そしてひとりでも多くの子どもが幸せになることを願っているようですが、若いアンは仕事に恋愛に忙しいし、正直そんな余裕はないのかも。

 一方の私はブログを始めてから、遠ざかっていた記憶がまざまざとよみがえり、最近の養子縁組事情にもすっかり興味津々。アンにとっては「何をいまさら」って、ちょっとうざったかったのかもしれません。空気が読めないところは昔からの私。けっこう気長に付き合ってもらっちゃったねえ。

 養子問題には無関心とはいえ、二回目の交流会にもちゃっかり参加したアン。その会では、若いお母さんからあれこれ質問されていました。私について聞かれると、「いつもブレなかったから安心できた」と答えていました。言われてみれば、それはそうかも。不意にいろいろ聞かれても、オロオロすることや言葉を濁して逃げることは一度もなかったです。でも、私だって内心ハラハラしたこともあったんです。

 でも裏返せば、いい気になっていたってことでしょうね。謙虚さのかけらもなし。振り返ると、かなり肩肘張っていた気もします。今考えると相当危ない面も……まあいっか〜、なんとかなったから。私もがんばりましたが、いちばんはアン自身の力であることは間違いありません。

 いつもあっけらかんとしているアンは、交流会後にこう言っていました。

娘「もっと突っ込んで聞きたいこと、あるんじゃないかなあ? 遠慮しないでどんどん聞いてもらっても私は平気なんだけど。ああ、次に会うのが楽しみ〜。子どもって、どんどんおしゃまになっていくよね」

 ただ、かわいい子どもたちと美味しい食事が目当てなんだと思います。

次回更新は5月16日(月)です。

特別養子縁組について

 特別養子縁組は、子どもの福祉のために(親のためではなく)、子どもが実親(生みの親)との法的な親子関係を解消し、養親(育ての親)と実子に等しい親子関係を結ぶ制度です(※)。そんな特別養子縁組制度が成立した翌年の1988年、うさぎママ夫妻は児童相談所の仲介で0歳の娘・アンちゃんと出会い、親子になりました。

厚生労働省 特別養子縁組制度について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000169158.html

※この連載は、書籍『産めないから、もらっちゃった!』(2012年、絶版)の改定版を公開するものです。

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