
GettyImagesより
特別養子縁組で親となった著者は、娘・アンちゃんに幼い頃から養子であることを伝える「真実告知」をし、確かな関係を築きました。そうして大人になったからこそ、なんでも話せる関係に。普通の親子だから、するどい指摘をされちゃうことも!
第4章 花ざかりのアン
ブログの話から始まり、娘・アンと取りとめのない話をたくさんした日のこと。きびしいこともズバリと言ってくれるのは、娘ならではです。なかなかするどい指摘でした。
娘「ねえ、お母さんってブログでは、すごい主婦みたいになってるねえ……。本当はちがうのにねえ……」
私「はい、ちがいますよ! アンがいちばんよく知ってるよね」
娘「ブログを読んでいる人たち、だまされてる〜」
私「ちょい待ちっ! 人聞きの悪いこと言わんといて〜。本当のことしか書いてはいないんだよ〜。アンだって読んでるでしょう?」
娘「ん〜。確かに嘘は書いてないや。でも書き方がずるいんじゃない?」
私「ずるいって……そうかなあ。うん、そうかも」
ま、それは置いておいて、娘に言われました。自分でも気になっていたことを。
娘「この頃、あんまし養子関係の記事がないね。タイトルにそぐわない。なんだか普通の記事ばっかりだもん」
私「まあ、普通の家だし、親だし、子どもだしね。だいたいアンが一緒にいないとネタ切れなの。といっても、ブログ名を変えるのもどうよって感じだし」
娘「じゃあ、この辺で私が大騒動を起こすと、お母さんは助かる? ずっと会いたかった産みの母を探して外国へいくとかさ? うふふ」
私「アンの産みのお母さんは結婚して、かなり近くにいるみたいだよ」
娘「もう! それじゃあブログネタとしては弱いじゃん」
あ、あのね、別にブログのネタづくりに大騒動を起こしてほしくなんてないからね。むしろおとなしくしていてほしいのです。産みの母に会いたいわけじゃないなら、会いに行かなくてもいいし。
でも、確かに養子縁組関係の記事は、どんどん少なくなっていました。いまや養子縁組をした事実さえ忘れがちで……ネタ切れにもなるわけです。ひょっとしてアンが出産でもすると、養子ならではの問題が出てくるのでは。
そうそう、出産といえば、この前、アンがこんなことを言っていて笑いました。ブログの友だちのところに養子として赤ちゃんが来るので、私が興奮して騒いでいたら……。
娘「本当に赤ちゃんって貴重なんだね。10組に1組は不妊症ってテレビでも言ってたし。私はどうかなあ……。あ、ねえ、お母さん、不妊症って遺伝すんの〜?」
私の不妊症が遺伝するなんて……、もう少しよく考えてみてほしいものです。
私「遺伝も何も……。お母さんはアンを産んでいないんだから、不妊症の遺伝はないよ〜」
娘「……? あ、そうかそうか〜。遺伝はないよね〜。あははっ。うっかりお母さんから遺伝しちゃうかと思った〜」
この突き抜けた明るさは、アンの子どもに遺伝してほしいものです。もう少し物静かに育ってほしいけど、その点はなるようにしかならないですからね。
次回更新は5月23日(月)です。
特別養子縁組について
特別養子縁組は、子どもの福祉のために(親のためではなく)、子どもが実親(生みの親)との法的な親子関係を解消し、養親(育ての親)と実子に等しい親子関係を結ぶ制度です(※)。そんな特別養子縁組制度が成立した翌年の1988年、うさぎママ夫妻は児童相談所の仲介で0歳の娘・アンちゃんと出会い、親子になりました。
厚生労働省 特別養子縁組制度について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000169158.html
※この連載は、書籍『産めないから、もらっちゃった!』(2012年、絶版)の改定版を公開するものです。