妻と夫の本音トーク:夫婦とも娘への愛と、若い特別養子縁組親子へエールを送りたい気持ちは同じ

文=うさぎママ
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GettyImagesより

 同じく特別養子縁組で親になった著者とパートナー。子育てを振り返ってみると、少し考え方が違う部分もあるけれど、娘であるアンちゃんを心から深く愛していること、また今の若い特別養子縁組親子の幸せを願う気持ちはまったく同じで……。

第4章 花ざかりのアン

 夫が、単身赴任先から大量の洗濯物をお土産に、クタクタで帰ってきた日のこと。たくさんの若いお母さんたちが養子縁組里親からスタートしてがんばっていること、昔の私と夫と同じ気持ちで赤ちゃんを待ちわびているご夫婦がいること、今では昔とちがって、いろいろな迎え方があることを話しました。

 でも、夫は少し頭がかたいんです。本人に伝えると否定しますが、それがかたい証拠。やわらかかったら少しは「そうかもしれない」と考えることでしょう。そんな夫ですから、私たちのように顔合わせをしてから迎えないと、と頑固に思っているようです。

夫「初めて小さなアンを抱っこしたとき、なんの違和感もなく、しっくりきた。あの感覚がなければ、確かめていなかったら、受け入れても難しかったかもしれないな」

私「そうかな〜。たとえ事前に会わずに家に迎えたとしても、たとえ少し大きめの男の子だったとしても、しっくりきたって言ってたよ、きっと(だって、私がベビーシッターをしていた子どもにメロメロだったのは、むしろ夫だったもの)」

夫「……」

私「そうそう、ブログで知り合った若い友だちが生まれたての女の子を迎えに行くんだよ」

夫「そうかあ〜。きっと仲よくやっていけるだろう。めでたい話やなあ」

 としみじみ新しい家族の幸せを願う、意外と感激屋さんな夫。そして、話題は今まで執拗に避けていたアンの結婚へ、

夫「アンも何年かバリバリ結婚したら、きっと結婚するんだろうなあ」

 いずれは結婚かと、やっと娘の親離れを受け入れた様子でした。でも、すごく抵抗あるみたいで、悔しそうな口調で話すのがおかしい。

私「アンが一緒にいたいと望む人で、アンを大切にしてくれる人なら、あれこれ難癖をつけるのはやめようね。アンは考えのない子ではないし」

夫「そりゃわかっとる! あったりまえだ! けどなあ、気に入らんだろうなあ……」

 相手をするのも馬鹿らしくなって、知らん顔をしていたら、ひとりでブツブツとつぶやいていました。

夫「アンにも人を見る目は、ちっとはあるやろう。ヘラヘラした男を連れてくるはずはないやろう。アンなら!」

 夫と結婚してふたりでスタートした第一幕、アンを迎えた第二幕、うれしいことも苦しいこともありましたが、充実した日々でした。そして、アンの巣立ったこれからの第三幕がとても楽しみです。

次回更新は5月30日(月)で最終回です。

特別養子縁組について

 特別養子縁組は、子どもの福祉のために(親のためではなく)、子どもが実親(生みの親)との法的な親子関係を解消し、養親(育ての親)と実子に等しい親子関係を結ぶ制度です(※)。そんな特別養子縁組制度が成立した翌年の1988年、うさぎママ夫妻は児童相談所の仲介で0歳の娘・アンちゃんと出会い、親子になりました。

厚生労働省 特別養子縁組制度について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000169158.html

※この連載は、書籍『産めないから、もらっちゃった!』(2012年、絶版)の改定版を公開するものです。

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