5月24日
『イワクラと吉住の番組』(テレビ朝日)は、初回からずっと録画してるくらい好きな番組。この日は、おぎやはぎの小木が登場。ふたりを見て「打ち解けてないよね、あんまね」と一言。屁理屈で偏見持ちなので、すごい話があいそうなのにと小木が言うと、吉住が「お互いがひねくれてるのはわかってるんで、近づきすぎちゃうと、お互いのことを嫌いになる可能性がある」「これくらいの距離感がいちばん好きなままいれる」と言っていて、めちゃくちゃ納得する。
個人的にも、まあ若いときの話だけれども、ときどき急激に仲良くなる人がいるにはいる。でも、一週間に何度も会うような感じになった人で、今も会ってる人ってのはほぼいない。
それって別に好き嫌いとかではなく、たぶん自分とはペースが違う人なのかなとも思う。しかし、そういうことが確かにあったので、ここ10年くらいは、距離感を詰めすぎないようにしているし、それが相手のためにもなり、自分のためにもなると思ってたりする。実は、そういうことを私自身も『anan』で聞かれて答えたこともあるのだった。この前やった『VOCE』の野田クリスタルさんのインタビューでも、同じようなことを言っていた。
番組の話に戻るが、小木はこの番組やふたりの雰囲気を、番組としてこんなにゆるくて大丈夫なのかと心配しているようなところもあったけれど、見てると中身的には、確信をついた質問がどんどん出てきて、ぜんぜん「ゆるく」はないところが多い。
この回でも、吉住さんが「(コメントするときに)なに自分のこと棚にあげて、偉そうにしゃべってるんだよと思っちゃって喋れないことがある」と言うと、小木も「あの人傷ついてたらどうしようとか、ネットニュースからその人の耳に入ったりとかして、役者さんとか、すげー傷つくっていうか、腹立ってんだろうなと思って俺も反省してる」と返す。それに対して、「自分勝手だなとも思うんですよ、自分が傷つけといて、傷つけたことに対して自分が傷つくっていうのって。そこに関して何かあります?」と聞く吉住さんを見て、なんと鋭いインタビュアーだ!と思ってしまった。
雰囲気がゆるいのと、内容がゆるいのかは、無関係なのである。そして私もそこを目指している。
このほかにも、イワクラさんが「誰とかないんですけど、こんな時代やから、こんなんも言われへんわ! とか、時代じゃなくてお前の言ってること、そもそもおもんないし」と言っていた。永遠に見続けたい。
5月28日
『さんまのお笑い向上委員会』(フジテレビ)は、さらば青春の光の森田をフィーチャーした回。冒頭で、ザ・マミィの林田が、森田のことを「品がない」「猫好きで下品隠ししている」とぶっこむのだが、そういう森田いじりは他の人もざんざんやってきたことだし、林田が言うのは変だなと思いながら見ていた。
その後、やはりザ・マミィの酒井も、「そもそも出っ歯の人って品がないじゃないですか」というパスを出すと、明石家さんまがそこに乗ろうとする。それだけでも精一杯だったと思われる酒井に、明石家さんまが「そいで? そいで?」と言うと、酒井はゲボを吐きそうになっていた。
それを見たニューヨークの屋敷が「関係値ないのに、ケンカさそうとするこの番組が一番下品なんですよ可哀想に。喫煙所でふるえてましたよ。さらばさん(に対して)僕言うことなんにもないですよって。可哀想にな……」というと、酒井も「人の悪口言ったことないのに……」と泣きそうな顔になっていた。
やっぱり私の感じていた違和感は合ってたのかと思ったのと同時に、このときの屋敷さんの助け船は優しいし、けっこうなバランス感覚だなと思ってしまった。こんな助け船を出すのは、これまでのお笑いのセオリーとは違うのかもしれないけれども、それにのっかってたからって安心というわけではない。
今回は、それに関連して、ラジオのことも書く。『佐久間宣行のオールナイトニッポン0』に『有吉の壁』の橋本和明プロデューサーがゲストに出ていた(本筋に関係ないが、橋本さんは、東大大学院を卒業して日テレに入社したそうだ。東大時代は、上野千鶴子研究室にいたそうな)。
佐久間さんも橋本さんも、バラエティではコント芸人がなかなか活躍しにくいと言っていて、なんとなくそうかと思っていたけど、言語化されてはっとした。確かに、特に東京のコント師はバラエティで居心地が悪そうに見える事は多い。橋本さんは、コント芸人に出てほしいと思って『有吉の壁』を思いついたとのこと。
『向上委員会』でやっぱりコント師であるザ・マミィの頑張ってる感じも、合点がいく。コント師は、普段は演技をしている分、自分自身を面白く見せるのではなく、演じている中で面白く見せる人たちなわけで、自分のエピソードを面白く話すということは、またスイッチが違うものなのかもしれない。
『すべらない話』もよく考えたらコント師は少ない気がすると思い、同番組のWikipediaをみてみたら、ほとんどが吉本芸人で、若手の参入はあっても少なく、最近、新しい人で目だっていたのは、錦鯉の渡辺さん(漫才・年齢上め)と、ハライチの澤部(漫才)くらいであった。