6月24日
『あさイチ』(NHK)を見ていたら、日本の原作をフランスで映画化した二本が紹介されていた。一本は『キャメラを止めるな!』で、もう一本はアニメの『神々の山嶺』。どちらも面白そうな作品であった。
放送を見ていると、日本にアイデアや原作はたくさんあるのに、それを活かすことができていないのではないかと思えてくる。
韓国の映像制作会社のスタジオドラゴンが、日本に法人を作ることを発表した。これは当初、日本の原作を韓国の会社が映像化するためかと思ったが、どちらかというと韓国のウェブトゥーンを日本でドラマ化するための会社のようである。
その発表に際してのリリースでは、「全過程をワンストップで進行するCJ ENMおよびスタジオドラゴンのノウハウと統合することで、日本国内で制作されたドラマとは差別化したプレミアムコンテンツを生み出し、日本ドラマ市場を革新・活性化させることを目指す」と書いていた。
これは言い換えれば、「全過程をワンストップで進行できない日本のノウハウでは、差別化したプレミアムコンテンツは生み出せず、日本の市場を革新、活性化させることがずっとできてなかった」って言われてるような感じなのではないか。
映像制作に限らず、さまざまなところに言えることだが、 旧態依然としたシステムのせいで、いいもん持ってるのに(原作やアイデアや制作者などが存在する)、こんなことになって……と思ってしまう。
これは、是枝監督が韓国で『ベイビー・ブローカー』を作ったことにもつながっているのである。
そんなことを考えると、LDHがマ・ドンソクの『犯罪都市』の日本版を作ったりするのは、突破口を開こうとしているようにも思えるし、そのためには、日本のシステムを刷新しないといけないとも思う。そうしようと思ってるんだと思うけど。
6月25日
フジの『まっちゃんねる』は、「IPPON女子グランプリ」。そういえば、お正月に松本人志が『笑いの総合格闘技!千原ジュニアの座王 新春SP』(フジテレビ)に審査委員長として出演した際に、「女性大喜ラー」を探していると言っていたのを思い出した。それを見た私は、朝日新聞のコラムに、「探さなくても、そこにいる」と書いたのだった。女性で大喜利をする人たちは、『座王』には、毎週、ごく自然に出演しているからだ。
「IPPON女子グランプリ」は、大喜利自体はすごく楽しめたし、私はけっこう女性だけのお笑いコンテストの『THE W』に対しても肯定的だ。その理由は長くなるので、またどこかで書くが、女性だけのIPPONグランプリがあることにも賛成である。『座王』だって、女性だけの回はあったし、その回は見ごたえもあった。
ただ、今回に関しては、番組のコンセプトというか、ナレーションなどがいただけないのは、私が指摘せずとも、Twitterや、ニュースサイトの記事などでも言及されているところである。女性芸人だけで大喜利をすることを「無謀だ」という人がいたというのも根拠がよくわからないし、ナレーションで「果たして女性は大喜利が苦手なのか?」という問いかけも、番組に注目させるための煽りなのかもしれないが、必要だったのだろうか。
(松本人志自身もそう言っていたが)松本人志はけっこうこの番組で優しかった。というか、どの番組でもけっこう優しいのである。でも、女性芸人が求めているのは、「優しい」とか「優しくない」かではなく、ほかと同様に正当にジャッジしてくれる場なのだと思う。そういう意味で、ナレーションや煽り以外の部分では、この番組の意義は感じられた。
それにしても、ハリセンボン、箕輪はるかさんの大喜利は安定していた。でも、そんなのみんな、「ダイナマイト関西」の頃から知ってたけどな!
6月26日
関西での放送は、『まっちゃんねる』の一日前であった『座王』(関西テレビ)を遅れてTVerで見た。
この日は、大阪の女性コンビ、天才ピアニストのますみさん(上沼恵美子の物まねでお馴染み)や、『IPPON』にも出ていたAマッソの加納さんが出演。ふたりともかなり面白く、特に「女性芸人だから」とか「男性芸人だから」という目線でジャッジされない空気がいい。
普段からこの番組は、毎週放送だからこそ、参入の壁が低く、比較的、経験の浅い芸人も、気軽な気持ちで出演している感じがあるし、滑ったとしても、ジュニアや先輩たちが拾ってくれるし、次がないというわけではない。なかなか東京でみかけない中堅芸人のおもしろさを再認識させられたりもするし、ロングコートダディの堂前と、笑い飯の西田の面白さに同時にうなることもできる。ふたりの芸歴の差なども、あまり意識されないのもいいところだ。
改めて、『座王』っていい番組だなと思ってしまった。
編集部からのお知らせ
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