
GettyImagesより
「ねじねじってご存知ですか?」ーーそんなメールを見て「くねくね※ではなく……?」と首をかしげました。連絡をくれたTさんの話によると、知り合いの自然派が「ガッテン農法」という自然農法にハマり、その提唱者が作り出したおまじない的なものだとか。初耳だ。
※くねくね=ネット発祥の怖い話。
Tさん「要はねじった藁(ワラ)なんですけど、それを畑に埋めると宇宙とつながるスイッチになって、土の粒子が細かくなり雑草がするする抜けるんだとか」
そりゃすっげえ。「楽しかったので、よかったら調べてみてくださいね」という言葉に促されるがまま、まずはネット検索。なるほどロマンあふれる世界が広がっていました。
ねじねじなるアイテムを考案したのは、ガッテン農法と呼ばれる自然農法を指導している三浦伸章さん。ねじねじを使うと「一瞬にして畑をイヤシロチ化」するというのです。
さてここでまず、「イヤシロチ」とは何か。日本スピリチュアル界の重鎮である故・船井幸雄氏の著書『イヤシロチⅡ』(評言社)によると、「そこに行くと癒される地」とあります。大地震でも被害を受けない家、冷害でも減収にならない農地、春夏秋冬に咲く花が一年中季節に関係なく咲いている庭などなど。単なるパワースポットを超え、思いを実現化できる奇跡の地という感じです。
そして科学者たちがイヤシロチを研究・分析し、建築の現場に応用化。炭を敷くなどして結界を張り、イヤシロチ化が人工的にできる! とありました。もちろんそれはすでに実用化されており、過去、船井総研主催のセミナーに参加した人によれば、イヤシロチ化するための材料も料金もそれはそれはお高いそうで……。今でも「施設をイヤシロチ化した」を売りにする商売もあります。そこで作業を行うことで、健康だけでなく運も引き寄せる! と謳われています。
同書を読んでいて私が最高にウキウキするのは、この手の本のお約束ともいえる、体験談・実例です。同書で「びっくり現象」と書かれたイヤシロチ効果、たしかにびっくりだ。
・某所のガソリンスタンドは、価格は高めで近所に強敵も出現。なのに人気衰えずなのは、その場をイヤシロチ化したから。同量のガソリンを入れても走行距離が明らかに伸び、燃費効率が安くつくという指摘があった。煙草トイレのにおいも気にならなくなった。
・イヤシロチグッズを取り入れた焼肉屋は、焼肉の匂いが衣服や髪につかないようになった。夏に冷蔵庫を動かしたら、ゴキブリがいなかった。店主の妻は整体に通わずにすむようになった。食べながらケンカしている男女や家族の姿がまったくなくなり、みな和やかに食べて帰っていくようになった。
いま自分がいる土地はイヤシロチかどうか? 気になる人は、Oリングテストをすればいいそうです。さらに波動の転写やEM菌の活用、電磁波対策といったポイントも登場しますので、オカルトもしくは超科学といった世界がお好きなヒトたち向けということがわかります。
ちなみに、イヤシロチの逆は「ケガレチ」。魔の踏切など、何をやってもヤバいことになる場所だと言います。映画化された小説『残穢(ざんえ)』(小野不由美著、新潮社)は、とある場所に住む人たちが次々と不幸に見舞われるケガレの物語でしたが、イヤシロチ思想で見ると、そこもまたケガレチに該当しそう。
1 2