私の素朴な疑問としては、万物が循環し、植物はイキイキと咲き誇りヒトも動物も癒されるのに「害虫はいなくなる」というのが不思議でなりません。害虫と呼ばれる虫はヒトの都合であり、食物連鎖、自然環境にとっては本来必要不可欠な生き物。イヤシロチはヒトが発見した法則で「思い」が重要視されるとはいえ、そこまで自然が都合よく働いてくれるのかな~。たびたびリアリティショー的にメディアに登場する大家族や、児童婚問題を孕む一夫多妻の宗教コミュニティなども、生命の循環といった点ではポジティブにとらえることもできそうですが、社会的には闇が深そうなので、イヤシロチとしてはどうなのかも知りたいものです。
「ねじねじ」に話を戻しましょう。ねじねじの作り方・使い方は、YouTubeなどでも公開されているので、知りたい方はぜひ検索を。当連載で注目したいのは、イヤシロチ本と同じくの、びっくり効果です。
・ねじねじを埋めた場所が、ゼロ磁場の中心となる。
・土の粒子が1000分の1になって雑草がスルスルぬけ、害獣も減る。
・普通は何年もかかる自然農のための土づくりが秒でできる。
・汚染された土や水も浄化され、作物の品質が高まる。
・微生物が活性化することで、除草剤も肥料も必要なくなる。
さらに具体的に対策したい案件がある場合は、願いを書いた紙を土に埋めるべしというお作法も興味深い。たとえば「ここはイノシシの来る場所ではありません」とか「サツマイモが実る場所です」というように。
一般的にも豊作祈願があるように、これもまた祈りのひとつであると片づけることもできそうですが、諸々の効果を聞いてしまうと、ちょっとファンタジーが過ぎるような……。また、ねじねじで体の痛みがなくなった! というような健康問題に接する報告もあるのがやや不安。育児や健康法に応用され、とりかえしのつかない事態が発生しないことを願います。
ねじねじ考案者の三浦氏は、『笑えるスピリチュアル』(KADOKAWA)で有名な作家のさとうみつろう氏の動画配信サイト「みつろうTV」にも登場しており、その対談動画を宣伝するページでは、自然農法にとどまらず、生活へ生かす試みがにおわされていました。
なんならストーカーすら撃退? ねじねじを持つと「呼吸が深くなる」!? カラダの粒子が細かくなる!? ねじねじを飲み物にかざすと「味が変わる」!? 簡易的ねじねじの「ねじねじステッカー」をスマホに貼ると電磁波を遮断でき、冷蔵庫に貼ると中の食べ物がおいしくなり、車に貼ると空気抵抗がなくなり、燃費が良くなる!?
すべてに「!?」がついてるのは、言い切ると不都合が生じる大人の事情でしょうか。拡散力のある人に誘導されてさらに謎深くなっていく、不思議グッズの沼を垣間見たような気分です。
この三浦氏は草木や虫とも会話できるということで、動画で見ると、以前当連載でご紹介した菌ちゃん先生のように、大変ユニークなキャラクター。衝撃的な結果となった今回の選挙や酷暑で疲れた心身には、癒しすら感じてしまいました。
ワン・パブリッシング(学研の雑誌を引き継いだ出版社)からは野菜作りの本も出版されており、こちらは大変わかりやすく、実践的。いずれもそうした要素は、入り口を広げる格好の材料です。気軽な気持ちで本を手にとり、気づかぬうちに、その著者をカリスマと崇める摩訶不思議なコミュニティへ……というのは、スピ沼にハマった人たちからよく聞くルートです。
その沼を求めているかどうかは人それぞれでしょうが、ディープな世界へ足を踏み入れたくない人は、プラセボ的なお守り程度の認識で、ねじねじを楽しむとよさそうです。
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