7月19日
『イワクラと吉住の番組』(テレビ朝日)は、オアシズ大久保さんがゲストの後半。大久保さんに「ワクワクする仕事」について尋ねると、大久保さんは『有吉の壁』(日本テレビ)だと答えていた。大久保さんは、出ることが決まったら、タリーズコーヒーにいき、手帳を広げて、何ができるかなとか、若手とのコラボはできないからひとりのほうがいいよなとか考え、撮影が終わって達成感を得て家に帰ると、いつもよりビールがおいしい……みたいなのがいいと言っていた。
芸人の場合、徐々に大御所になっていくと、「面白い」ことを作りだしてそれで笑いを生むということも少なくなっていくのだろう。それでも、そうやって自分が考えたことで、笑ってもらえるのは、いつになっても達成感があるのだなと思うと、すごくエモい話だなと思った。
イワクラさんも吉住さんも、『有吉の壁』が好きだそうで、『有吉の壁』が、そういう達成感を得られる場所でもあり、そのうえ、芸人が楽しんでやれる場所なんだろうなと思った。
仕事を頑張るモチベーションについて聞かれた大久保さんは、「究極じゃないけど、求められてる感がやっぱり幸せなのかな」と言っていた。芸能人からこの言葉を聞くと、いつでも胸がギュっとなるものがある。
7月21日
『トークィーンズ』(フジテレビ)は、オズワルドの伊藤がゲスト。収録日は蛙亭のイワクラとの交際報道が報じられた直後だったらしい。
恋愛もののバラエティは好きじゃないんだけど、この間のマヂカルラブリーの野田クリスタル同様、ぜんぜんいやな感じがしないのが不思議で。
あれからいろいろ考えてたんだけれど、かつてのお笑い男芸人というのは、恋愛話を一段下に見ていて、もしも恋愛の話をするのだとしたら、当時の忌まわしい言い方をそのまま使うとしたら、「かきタレ」というセックスだけの関係の人のこととか、「おねえちゃん」の話とか、風俗に行く話なんかしかしていなかったのだ。
昨今の、特に『トークィーンズ』で話す恋愛というのは、日常の延長線上の恋愛の話であり、目の前にいるパートナーのことを話しているのであって、かつて男芸人がしていたそれとはまったく違うように思う。
そのうえ、彼らは「芸人だから浮気はするもの」みたいな価値観を見せず、今回の伊藤でいえば、イワクラさんがみてもらっているという占い師に「今年は伊藤にモテ期が来る、イワクラさんのことを知ってるので、悲しい顔は見たくないかな」と言われると、伊藤がすかさず「俺だって同じ気持ちだよ!」と返しているのもよかった。
別にこの関係性が続くとか続かないとかは関係なくて、テレビに出ているときに、芸人のノリで「浮気するかな……」みたいなことを言わないその感じだけで十分いいと思う。
たぶん、かつての芸人にはホモソーシャルやそれに伴うミソジニーを持っていないことは、芸人として「恥ずかしい」ことだったところがあったんだと私は思っている。それがなくなってきてるのを感じられるから、『トークィーンズ』の恋愛話がいやじゃないのだろう。
番組の最後に、テレビを見ているイワクラさんに一言とふられた伊藤に、MCの中のひとりである、3時のヒロインの福田が後ろから「オモシロいらないよ!」とささやく。さらにオモシロを意識しすぎて滑ってしまった伊藤に、すかさず「いらん、言うてるやろ!」という突っ込みが入るのが気持ちよかったし、伊藤の「これをつまみに(イワクラと)仲良くさせてよ!」というまでの流れがバチっと決まっていた。頑張ってテレビやってるのも好感が持てた。
7月22日
『中居正広の金スマ』(TBS)には、この間の『音楽の日』(TBS)で30年ぶりに期間限定復活した男闘呼組と中居正弘とのエピソードが語られたけれど、中居くんが、ずっと声が詰まりかけた感じで話していたのが印象に残った。
さっきの大久保さんの「求められてる感」じゃないけど、芸能って本当に何があってずっと「求められる」かがはっきりとした答えがあるわけじゃないので、中居くんはそういうことを知っている当人としても、ぐっときてしまうところはあるんだろうなとかいろいろ思いながら見てしまった。
『ネタパレ』(フジテレビ)に、しずる・ライス・サルゴリラによる演劇ユニットメトロンズが出ていた。脳が活性化される水を売りつけられた客と売る側の話で、あらすじはネタにかかわるので書けないが、すごく考えられていて面白かった。
こういうユニットコントだけをやる番組があってもいいのではないかと思った。即席でランダムに組ませるのではなく、ちゃんと活動しているユニットだったり、一緒にやりたいと思っていた同士で出るとかそういうものが。コントはどんどん演劇的になっているし、コントが書ける人は、どんどん脚本を書くようになってきている。そういう流れはすごくいいと思う。