7月28日
『ダウンタウンDX』(読売テレビ)は、「ダウンタウン結成40周年SP」の未公開トーク大放出の回。前回の放送は、かつて単にトガった若者たちであったダウンタウンとファミリー(と番組で言っていたはず)が、初老になろうとしていて、そんな彼らの集合写真はエモいけれど、なぜか少しせつない感じがしてしまう、くらいの感想であった。彼らは、「新人類」と呼ばれた世代に入るだろう。
番組では、木村祐一が、還暦を迎える芸人仲間で「還暦の会」というLINEグループを作ったのだということを話していた。その中のひとり、リットン調査団の藤原が60歳になったということで、ほかのメンバーが「おめでとう」と次々に送ると、藤原が「皆さんありがとうございます。60になった今朝、朝勃ちしました」と返す。それに対して今田・東野が顔文字や絵文字を送ったけれど、その後「ピタっとやりとりが終わってしまった」とのこと。
その映像を見た松本人志は、「現場を離れてると、どんどんずれてくる」「もう笑えない段階に来ているわけですよね」とコメントしていた。
「還暦の会」では、比較的メンバー同士が、誕生日が来るたびに気軽にコミュニケーションしていたのだが、ほんこん氏だけはあまり発言をしないらしい。それには理由があって、数年前にも同じようなメンバーでのLINEグループがあり、その中のメンバーで食事に行くも、こんな時期だから一件目でやめようと帰った後、ほんこん氏の「今からタレ行くわ」「尻見酒終了しました」というLINEへの投稿に対してメンバーの全員が既読スルーをしたらしい。それ以降、ほんこん氏はLINEに投稿をするのをやめてしまったのだという。
それに対して、松本人志は「タレって最近、みんな言えへんで」と苦笑いをしていた。
さて、彼らの若い頃を知ってる自分としては、「タレ」という、付き合うというよりも、かりそめの関係性であることを強調するような言葉を今から30数年ほど前に使いはじめた中心人物すらも、いまや、そういう言い方はみっともないと思うようになったのだなと思った。まあずっとそんなことを言い続けるよりは、いいような気もするが、かといって、素直に「よかったね」とも言い難いし、でも、そういうやりとりにノリノリであるよりは、いいとも思えるし……という複雑な気持ちを抱きつつも、貴重な瞬間を見させてもらったとも思った。
お笑い芸人が、昔のノリのままでいるのは私もつらい。かといって、反省もなしに過去を清算しているのもモヤモヤする。しかし、意外と「今の時代、こういうことを言うのはもう寒い」という理由から、少しは前に進んでいるのかもしれないと思うと、そこに関してはやはりまあ悪いことではないのかもしれないとも思えた。
8月5日
『A-Studio+』(TBS)は『ラヴィット!』(TBS)が好調な川島明がゲスト。川島さんと言えば、今、絶好調の芸人のひとりと言ってもいいだろう。司会の鶴瓶も番組の大ファンで大絶賛。しかし、川島さんですら、若手のときとは、変化したのだなと思えるエピソードも披露されていた。
「昔はキャーキャー言われている芸人を睨みつけていたタイプ」であったと作家さんにコメントされて、川島さん自身も「妬みもあったんじゃないですか」「一緒に頑張ってたのが笑い飯と千鳥で、もっと汚かったんですよ」「ここが覇権を握るので、ほんまにおもろいことしか笑いません、みたいな感じになって、なんかちょっと目つきがおかしなってました。ギラギラしてました」とのこと。
いちおう、この世代が大阪で活躍していた頃のことは、ヨシモトファンダンゴTVという専門チャンネルの番組を毎日、かなりの時間、食い入るように見ていたし(そのころ、ドラマの記憶がないのは、お笑いばっか見ていたからだ)、お笑い雑誌も買いまくっていた自分はリアルタイムで知っていたのだが、今の様子を見て、すっかり忘れてしまっていた。本当に、ひと昔前と今のお笑いは、すごい勢いで変化しているのだ。
しかし、今は、そうやって自然と変わっていけた人、かつ面白くて技術はあるけれど、なぜかそれが伝わりにくかった人が突然、スポットが当たる時代でもある。それって、テレビもこの数年ですごく変わったのだと思う。
8月6日
『おげんさんのサブスク堂』のPart1。『おげんさん』の番組の中のコーナーのひとつが、単独の番組化したもので、星野源と松重豊が、お薦めの曲を紹介していく。テレビでこんな風に音楽を紹介する番組というのは少なかったが(『関ジャム 完全燃SHOW』(テレビ朝日)などは数少ない中のひとつだろう)、ミュージックビデオやパフォーマンスも含めて音楽とも言える今、テレビでこうした番組がもっとあったっていいのではとも思えてくる。
前にもこの日記で書いたが、星野源は、音楽的教養が、誰にももっと身近に身につく環境があればいいと思っているのではないかと思っている。だからこそ、ほかの番組では紹介されないけれど、聞けば広がりのある楽曲をお薦めしていくことが責務だと思ってるのではないかと私は考えていて、今回もそれが感じられてよかった。
今、ほかの番組(関ジャム以外)では、誰もが知ってる曲をかけることが、人の関心を引き、視聴率にもつながる、という考え方がかなり主流であるけれど、そうでなくても、関心を持つ人がいるということを、示していってほしいと思うし、まあそれができるのは星野源なんだろうなと。
それと、この番組内で、星野源が、高野寛がやっていた『土曜ソリトン SIDE-B』(NHK教育テレビ)に影響を受けた話もしていて、自分のように同じような音楽体験を、誰かにしてほしいんだろうし、それも責任だと思ってるんだろうなと思えた。
『土曜ソリトン SIDE-B』のWikipediaを見たら、<流行に乗った旬のゲストを招いたり、あるいはそういったテーマについて語られることはなく、ゲストやテーマは「流行」や「旬」ということからは一歩引いた「B面」的な観点から設定されるという独特な性格の番組であった>とあって、さっき私が書いたことそのものじゃないか!となってしまった。