8月11日
『テレビ千鳥』(テレビ朝日系)の「心に響く言葉選手権」はもう3回目になるらしい。MCは千鳥ノブで、スピードワゴンの小沢、ロバート秋山、男性ブランコの平井、ロッチ中岡、そして千鳥の大悟がそれぞれお題にそって言葉を紡ぎ、それを又吉が講評していく。そのうち、皆が又吉のようにそれぞれが講評を始め「みんな又吉のところしたくなったんか」とノブが突っ込んで笑いに変わる。
特にウケを狙わず、真剣に講評する又吉と、それを自然に受け入れ、必死で笑いをとりにいかずとも、笑いになるところに今っぽさを感じる。
言葉の中では、ロバート秋山氏の最後の長文、「みえないなぁ、なんだかなぁ、うすいなぁ」と思った仕事は、「だいたいやばい」「ちょっかんってだいじだなぁ」って書いてて、非常に納得してしまった。私の場合も、仕事でなんか変な気がするなと感じるものは、だいたいやばい。
8月13日
『ダウンタウンvsZ世代 ヤバイ昭和あり?なし?』(日本テレビ系)はダウンタウンの世代、つまり昭和の風習を、今の若者であるZ世代に見せて、ギャップを楽しむ番組で、それなりに面白く見た。視聴率も上々だったらしい。
中盤では、ダウンタウンの松本人志が世に広めたとされる言葉が紹介されていて、それが、今のZ世代にも、当たり前のように使われているというところが面白かった。昭和の風習は廃れても、ダウンタウンが25年前あたりから言っていることは、根強く当たり前のように浸透しているということがわかる。
松本人志が広めた言葉は、ほとんどが「空気」に関することばかりである。絡みにくい、イタい、滑る、噛む、グダグダ、サムいなどなど。
これらの言葉が、今の若者に使われているということは、それだけコミュニケーションにおいて、いまだに、というよりもますます、「空気を読む」ということが重要視されているということかもしれない。
8月20日
『さんまのお笑い向上委員会』(フジテレビ系)では宮下草薙が登場。草薙はこの番組をNGにしていて、今まで出ないようにしていたという。登場を待つ間にも、草薙の顔色は悪く、相方の宮下が抱きかかえて登場。これは「おもしろい」と思ってやっているのではなくガチだ。
草薙がNGにしている理由は、「おうちで見てるだけで貧血になる」からだそうだ。ザ・マミィの酒井も「ゲボ吐くくらい嫌だった」が、さんまの「ほんで」も無視できるようになって克服したという。
その最中にも、さんまだけでなく、先輩芸人たちが、やんややんやと大声でまくしたてるのだから、顔面蒼白になるのもわかるが、草薙は「みんな……苦しそうな顔してる」と自分にだけでなく、他者に対してもそう感じているのが興味深かった。
しかし、この回でネットニュースになるのは、草薙が年齢がかなり上のマネージャーに頼りきっていて、つらいときには膝枕をしてもらったり、プロポーズまでしているというエピソードトークなのだろう。芸人とマネージャーとしては通常の関係性を超えているかもしれないが、それはまあ好きにさせたれよと思ってしまった。
『マツコ会議』(日本テレビ系)は、ホストとして復帰したローランドが出演。この人がテレビの世界に現れてから何年もたつが、まったく消費されたりしていないのがすごいなとあらためて。
ホストに戻ったローランドは、金髪になり、ホスト然として強気の明言を連発していた。自分で自分のスイッチを入れてる感じなのだろうか。それも経営者としての責任感みたいにも見えた。
ローランドは「今って選択肢がないなかでホストしかないで選ぶ子が多いんですけど」「親御さんがローランドの店なら預けたい」「たくさんある選択肢の中から一個になったらいいなというのがありますよね」と言っていた。
『じっくり聞いタロウ』(テレビ東京)の路上インタビューで、ホストクラブを経営している人が言っていたのだけれど、今の学生のホストで面接する中の9割くらいは、奨学金返済のために選択しているという話を思い出した。
この日は、再開するホストクラブの新人ホストと、かつてローランドの元で働いていたが、独立してYouTubeをやっているという元ホストも登場。ローランドに比べると、新人ホストたちのおぼつかないしゃべりなのは致し方ないが、突っ込まれたりイジられても、微妙な表情を見せるため、マツコも「冗談冗談」とフォローしていた。全体的に、イジられるのは、ぜんぜん「おいしく」はないのだなということを実感した。それが、強すぎる自尊心なら微妙だが、イジられることをよしとしないのは、それはそれでいいことだ。
むしろ、『ダウンタウンvsZ世代』で見た、空気を読む若者も、あれはテレビの中の人だからいまだに敏感なだけで、もはや現場では、そういうものを離れているのではないかとも思った。
元ホストのYouTuberは、そのチャンネルで「女の落とし方」をテーマにしているという。すると今まで、新人には厳しいことを言ったり、突っ込んだりせず大きな心で見守っているようなローランドはすかさず「女を落とすって考えてる奴嫌で、俺が上にいるんだからお前を上がって来いよって上げ方教えないとダメだね」と言った。「俺が上にいる」というのはちょっと傲慢な感じもするが、そこはローランドの今までの立ち位置と矛盾はしない。確かに「落とす」という言い方は嫌かもしれない。元ホストにだけ厳しいのは、彼との関係性ができているし、新人ホストよりも多分年齢が上で、ミソジニーっぽい発言を放っておくより助言したほうがいいということなのかもしれない。いや、分からないけれど。