社会運動との関わり方に悩んでいる人に読んでほしい一冊 『凜として灯る』漫画レビュー

文=直江あき
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凜として灯る』(現代書館)

 1974年4月20日、東京国立博物館に展示された「モナリザ」に、一人の女が赤いスプレーを噴射した。スプレーを噴射したのは、米津知子。当時25歳。世間でも話題となったこの事件だが、その動機は「こだわり」「精神の浅さ」「嫉妬」と片づけられた。彼女はなぜ、モナリザにスプレーを噴射したのか。その動機を知るには、彼女の人生を知る必要がある。

 米津知子が「モナリザ」にスプレーを噴射するに至るまで、そしてその裁判の判決までを描いたのが、2022年6月に発売された『凜として灯る』(現代書館、著:荒井裕樹)だ。障害者文化論を研究する著者が、女性運動と障害者運動をつなぐキーパーソンである米津知子さんへのインタビューを重ねて紡いだのが本書である。

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 「ウーマン・リブ」は、力強い言葉を並べ立てる男性たちの活動に合わない女性たちが、自分たちの言葉で語り始めたものだが、本書はまさに、虚勢を張らずに自分の内面を見つめた内容となっている。

 米津知子さんが、消えたくなりそうな失敗の数々や葛藤、暗い感情をさらけ出してくれたからこそ、これまで当事者なのに障害者運動やフェミニズム運動への関わり方に自信がなかった私も、奮い立たされるものがあった。米津知子さんのそうした姿勢は、勇ましくスプレーを噴射する行為と同じくらい、もしくはそれ以上に、勇気がいることだと思った。

編集部からのお知らせ

 直江あきさんにレビューしていただいた『凜として灯る』 の刊行記念として、荒井裕樹さん、米津知子さん、 ライターの小川たまかさん、 詩人の豆塚エリさん出演のオンラインイベントを2022年7月1 6日に開催いたしました。本日10月4日から10月11日まで、 アーカイブ動画を50%オフで販売いたしますので、ぜひ『凜として灯る』とともにご鑑賞ください。

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