9月20日
『クローズアップ現代』(NHK)は「築50年の空き家に入居者続々▽空き家の新たな活用法とは?」。昨今、サラリーマンが郊外の空き家を100万円以下などの安価で購入し、リフォームして賃貸に出す「空き家投資」が多くなっているという。
番組の前半では、こうした現象をポジティブに紹介し、QRコードも駆使して空き家投資をしたい人に情報を発信していた。将来どうなるのかまだ見えないものを奨励するのは、経済番組ならまだしも、クロ現でやるのはどうかという気持ちも持ってしまった。
ただ、後半では、入居を断られ、住むところに困っている人たちに空き家を貸し出している住居支援の会社を経営している松本さんという方の活動も紹介されていた。松本さんは、安く物件を買い運営しているが、供給がおいつかない状況だという。徐々に投資も集まってきて、新たに物件を購入したと明るく紹介されていたが、本来ならば行政や政治がすべきことを、民間人の善意に頼る状況はどうなのだろうか。しかも松本さんは、特に儲けがたくさん出るというわけでもなさそうで、ギリギリのことを善意でやっていると感じた。
スタジオでは政府の空き家事業に関わっているという識者が、松本さんの活動を、政府の目線で「褒めて」いたが、それで本当にそれだけでいいのだろうかと思えてならなかった。
9月21日
『ヒューマングルメンタリー・オモウマい店』(中京テレビ)。この日は、店主ではなく、番組のディレクターに焦点があてられていた。ディレクターは、ロケ先でも写真を撮ってもらいたいという「ファン」もいるほど人気になっているのだという。番組はなんとなくは見てはいたけど熱心な視聴者ではなかったので、ここまで人気になっていたとはと驚いた。
昔のテレビならば、ディレクターは何か積極的に面白いことをしたりしそうなもの。なのに、この番組のディレクターは別に目立とうとしているわけでもなく、ただ自然に店主とコミュニケーションし、お店を手伝っているだけ。スタジオのヒロミたちが、そのなんでもないところを面白がってくれるので成立している。計算したりウケを欲しがっていないところが確かに好感が持てるし、ずっと見れてしまうのだ。
ひと昔前の、目立つことで人気になるのではなく、溶け込むことで人気になるのが面白い。今の視聴者には「やってんなー」というのがすぐに透けてみえてしまうものだから、そっちのほうが今の空気にあっているのかもしれない。
おまけに、この番組の映像は、ピントもあってないし、撮るべき映像が撮れていなかったりもする。それでも、その予定調和ではない部分が臨場感やエモさにまる。ヒロミはVTRを見て「これ革命だな」と言っていたが、確かにこの番組は、テレビ界にとって、革命なのかもしれない。
9月23日
『千原ジュニアの座王』(関西テレビ)をTVerで。この日は、「令和のギャルとチャラ男に元祖チャラ男芸人・狩野英孝」ということで、ぱーてぃーちゃんの3人と、エルフ荒川、狩野英孝が出演していた。
見てみたら、ぱーてぃーちゃんの3人もエルフ荒川も独自の面白さがあり、ギャル/ギャル男大喜利って、独特の強さがあるなと思った。
ギャルというか、特にぱーてぃーちゃんの信子ときょんちぃにしても、荒川にしても、ちょっと低い声で、普段はお気楽な感じでいるけれど、ボソっとつぶやく一言に、意外にも深淵が見える、みたいな感じがあるので、そのギャップと一言の破壊力が大喜利に向いているのかもしれない。
そんな中でも、一番印象に残ったのは、「田舎の町から中継をして笑わせる」というお題で、信子が「まじ帰りたい」と言って笑わせたのだが、審査では惜しくも負けてしまった。だが、信子に「負けてくやしいけど、10年後もこのメンバーであつまりたーい」とあのトーンで言われたら、やっぱりくすっと笑ってしまうのだ。
9月28日
『やすとものどこいこ』(テレビ大阪)をTVerで。この日は、ピン芸人の土肥ポン太さんが出ていた。やすよともこさんに、肌が綺麗とか、若いと言われていたけど、ほんとに若かった。土肥さんは今51歳であるが、私が遠目に見たとき、土肥さんと気づかなかったため、今年R-1にかけている長年売れなかった若手かと思うくらいには若かった。つまり40歳前後くらいには見えた。
土肥さんは、芸人をしながら農業をしたり、八百屋を経営したりしている。日光を浴びることが多いはずなのに、なぜこんなに色白なのかと思ったら、あるとき、農家の仲間だか先輩だかに、日に焼けたら体もしんどいんだよといわれて、肌を守るようになったのだという。今では日傘も使っているとか。
その後、土肥さんは、マイセンでお茶を飲んだら同じお茶でもおいしいと思って、カップとソーサーを楽しそうに選ぶ中、マイセンのかわいさや、その仕事の細かさにいちいち感嘆していた。なんというか、土肥さんの若手時代を見ていただけに、こんな風に人って変わるんだなと思うと面白かった。
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