【セミナーアーカイブ】「バックラッシュを振り返る」講師:山口智美さん

文=wezzy編集部
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 1990年代から2000年代にかけて右派によって行われていたフェミニズムに対するさまざまな反対運動を「バックラッシュ」と呼びます。

 90年代半ばに男女共同参画社会に向けた取り組みが活発化し、99年には男女共同参画社会基本法が施行されます。この前後から右派の団体や論客が、男女共同参画、夫婦別姓、ジェンダー平等教育、性教育、プロダクティブ・ヘルス/ライツ(性と生殖に関する健康と権利)などを対象に、メディアや自治体などさまざまな場面で反対運動を展開していきます。さらに右派は、「性別や性的指向にかかわらず、すべての人の人権が尊重され」という文言の入った男女共同参画条例案が宮城県都城市で提出されたことをきっかけに、同性愛者や両性愛者、トランスジェンダー、ノンバイナリなど性的指向や性自認も攻撃対象に加えるようになりました。

 当時、自民党は右派の運動に連動し「過激な性教育・ジェンダーフリー教育実態調査プロジェクトチーム」を立ち上げ(座長は安倍晋三元首相、事務局長は山谷えり子参議院議員)、性教育やジェンダーフリー教育を批判していました。2022年7月に安倍元首相が銃撃事件に遭い亡くなられたことをきっかけに、自民党議員と宗教右派団体であり、バックラッシュの際にも積極的に運動していた旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)との関わりも明らかになっています。

 バックラッシュが起きたのはいまから20年前のことですが、すでに終わった過去の出来事ではなく、いまもなお続いている問題だと言っても過言ではありません。そして20年もの月日が経ったいまだからこそ、当時をしっかりと振り返り、右派がどのような運動を行なっていたのか、フェミニストたちはどのように抵抗し、そこからどんな反省を見出すことができるのかが重要なはずです。 

 本動画は、斎藤正美さん、荻上チキさんとの共著 『社会運動の戸惑い : フェミニズムの「失われた時代」と草の根保守運動』(勁草書房)で、バックラッシュ時に保守がどのような運動を展開していたのか、その内実を主に右派団体への取材によって調査されている山口智美さんを講師にお招きしたオンラインセミナー「バックラッシュを振り返る」のアーカイブになります(2022年8月から9月に3回に分けて開催)。

 安倍元首相銃撃事件以降、連日続いていた報道は次第に落ち着きつつあります。じっくりと腰を据えて、問題に向き合うためにも、ぜひ本セミナーアーカイブをご覧ください。

アーカイブ内容紹介

★本商品は【セミナーアーカイブ視聴用チケット】です。
★購入後、視聴用URLとパスワードが記載されたテキストデータ(PDF)をダウンロードいただけます。PDFをダウンロードできる環境からアクセスしてください。
★動画のダウンロード、録画、録音、第三者とのURLの共有や貸与、SNSを含む他の媒体への転載は著作権の侵害になりますので、固くお断りいたします。

◎ 商品詳細

第一回「バックラッシュを振り返る 前編:バックラッシュとは何だったのか」

 「バックラッシュ」とは何なのか、 どのようなきっかけからバックラッシュの動きが始まり展開して⾏ったのかについて扱います。特に1990年代からの選択的夫婦別姓と⽇本軍「慰安婦」問題をめぐる右派の動きと、それらが2000年代はじめからの男⼥共同参画や性教育、リプロダクティブ・ライツやLGBTへのバックラッシュにどうつながったのかを振り返ります。具体的な2000年代はじめの男⼥共同参画条例や男⼥共同参画センター、性教育などへのバックラッシュの事例を紹介しつつ、そうした動きをリードした右派の背景をみていきます。特に⽇本会議や山口県に本部を持つ「新生佛教教団」系の新聞『日本時事評論』などの宗教右派によるバックラッシュの戦略や、右派の政治家らの地方、国会での動きについて分析します。

第二回「バックラッシュを振り返る 後編:バックラッシュの背景にいたのは誰か」

 ⼀体誰がバックラッシュをリードし、どのようにフェミニズムへのバッシングを展開したかについて、今回は特に旧統一教会(現「世界平和統一家庭連合」)に焦点を当ててみていきます。特に2003年制定の宮崎県都城市の「男女共同参画社会づくり条例」 に含まれた「性的指向」の文言に統一教会が反対した経緯や、統一教会員による地域の男女共同参画推進員として男女共同参画の中身を中から変える草の根の動き、福井県や大阪府堺市などでの所蔵図書への抗議活動などを検討しつつ、バックラッシュの戦略について分析します。また、ネット上でのバックラッシュが激化したのもこの頃でした。こうした⼀連のバックラッシュに、フェミニストがどう抵抗したのか、あるいはできなかったのか、バックラッシュの結果、どのような萎縮効果が生じたのかについても考えます。

第三回「バックラッシュその後:バックラッシュは終わっていない」

 バックラッシュは2000年代半ばに一応は収束していったように見えるものの、安倍政権時代などをへて、バックラッシュの主張は着々と主流化していきました。そして現在、「女性活躍」やSDGsなどのかけ声はあるものの、男女共同参画は風前の灯となり、選択的夫婦別姓、日本軍「慰安婦」問題、リプロダクティブ・ライツやLGBTの権利などが攻撃され続けています。また、ネット上でのフェミニズム・バッシングも激化しています。バックラッシュと現在とのつながり、そしてフェミニズムの現在と今後の対抗戦略について考えます。

アーカイブ内容紹介

★本商品は【セミナーアーカイブ視聴用チケット】です。
★購入後、視聴用URLとパスワードが記載されたテキストデータ(PDF)をダウンロードいただけます。PDFをダウンロードできる環境からアクセスしてください。
★動画のダウンロード、録画、録音、第三者とのURLの共有や貸与、SNSを含む他の媒体への転載は著作権の侵害になりますので、固くお断りいたします。

◎ 商品詳細
内容:オンラインイベントのアーカイブ動画
価格:10,000円(税込)
本編:各回、約70分
イベント開催日時:2022年8月14日(日)、8月28日(日)、9月11日(日)
イベント開催時の配信環境:Zoomウェビナー

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山口智美
モンタナ州立大学社会学・人類学部教員。ミシガン大学大学院人類学部博士課程修了、Ph.D. 日本の社会運動を研究テーマとし、70年代から現在に至る日本のフェミニズム運動、2000年代の右派運動などを追いかけている。共著に、『社会運動の戸惑いーフェミニズムの「失われた時代」と草の根保守運動』(斉藤正美・荻上チキとの共著、勁草書房2012)、『海を渡る「慰安婦」問題ー右派の歴史戦を問う』(能川元一・テッサ・モーリスースズキ・小山エミとの共著、岩波書店2016)、共編に『行動する女たちの会資料集成 全8巻』(行動する会復刻版資料編集委員会編、六花出版2015, 2016)など。

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