12月23日
本当は先週に書くべきなのだが、見たのが後なので今週に。『NHK MUSIC SPECIAL 松任谷由実~私と荒井由実の50年』(NHK)を再放送で見た(初回放送は12月15日)。いろいろ思うことはあったんだけど、書き残しておきたいのはなんでもないこと。
番組ではユーミンの八王子の実家が紹介されていた。ピアノが置かれた応接間は、石の壁の反響があり、湿気が多い場所だったそうで、そのせいで「一枚目のアルバムなんて雲とか雨とか霧とかの歌ばっかりですもんね」と語る。またプロコル・ハルムの影響もあり、オルガンのサウンドを前面に出して作ったのが『陰りゆく部屋』だったそうである。
別になんてことはないんだけれど、住環境がそんなに楽曲に影響するものなのかと、なぜか驚いてしまった。
というのも私が引っ越した部屋が、今までで経験がないくらい湿気のある場所で、一時期、湿気のことばかり考えていたからだったりする。結果、換気をすればある程度湿気はなんとかなるのだが、湿気についてのエピソードにはやたらと敏感になってしまった。
この間、『FNS歌謡祭』(フジテレビ)で、アニメ『ちいかわ』(フジテレビ)のキャラクター・ハチワレの『ひとりごつ』という曲が、湿気のことを歌っていて、「そんなことを歌う曲があるの!?」と妙に印象に残った。聞けば、ハチワレはどうくつで生活をしているから、湿り気の話を歌っているのだという。
もうひとつ言うと、2月に公開のパク・チャヌクの作品『別れる理由』も湿り気の話である。パク・チャヌクの作品が湿り気があるとかそういうことではなく、作品の中に出てくる街が、午前中は太陽の光が差さないくらいの湿り気のある街であるというセリフがあり、それが映画のイメージを印象づけていたな、と思い。
こんなに湿気のことを考えるようになったのは、家が湿気っているからで、私自身も湿気になにかしらの影響を受けているのだなと思ったりしている。
1月1日
『笑いの王者が大集結!ドリーム東西ネタ合戦2023』(TBS)。
『M-1』(テレビ朝日)などのコンテストは、緊張感があってそれはそれで面白いが、それ以外のネタ番組は、肩の力が抜けている感じで見ているほうも気構えずに見ていられる気がする。その中でも気になったのは、シソンヌとビスケットブラザーズの二組。
シソンヌのネタには、先輩と後輩が登場した。先輩のファッションがいかにも東京の何で儲けてるのかわからない、羽振りのいい感じの人で、それがめちゃくちゃ長谷川さんの風貌に似あっているし今っぽかった。
その先輩は、「パソコン一台あれば仕事ができる」ということで、地方に移住するのだが、彼らの友人には「スタートアップに成功した」人もいるようだ。
この「スタートアップ」で成功したような人をコントに出してくるのって、シソンヌ以外にはいないだろうなと思うと、それ自体が面白かった。テレビでやるコントは見ている人がどこまでわかるかということで、トピックをもう少し大衆的なものにするだろうし。
ビスケットブラザーズは、「魔の巣窟」に入りたいという勇者的な善人と、その「魔の巣窟」の見張りをしているバケモノの話。ずっと見張りをしているバケモノを勝手に不憫に思った勇者は手を取り、そこから逃がそうとするのだが、妖怪はその「仕事」を苦痛とは感じていないので、矛盾が生じるという笑いだった。
善人は、妖怪のネガティブなワードを聞くと、すぐに救おうとするのだが、それがことごとくおせっかいというか、行き過ぎた善意のように見えるという、なかなかクリティカルなネタだった。
こういう、善意の人がネガティブなワードを聞いたり、「かわいそう」と思ったりして変に救おうとしてしまうということはあるだろう。こういうネタは、「正義の暴走」みたいな感じになり、モヤモヤしかねないのだが、このネタに限っては、すごくいいバランスで成り立っていた。
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