1月3日
『しくじり先生 俺にみたいになるな!!』(テレビ朝日)のお正月SPは峯岸みなみが先生に。
峯岸さんは、デビューから2、3年はまったく日が当たらず、トップになれるとも思えないことから「自分はダメなんだ」と思うようになったという。その後、「ノースリーブス」に選ばれテレビに出られるようになってからは、「ブスいじり」をされるようになり「私を雑にいじったあとに、人気メンバーを丁重に扱」われたこともあり、「これが求められてることなのかと自分に言い聞かせながら、心で泣いていた」と語る。
「途中からは、これは美味しいポジションなんだなと思ってうれしかったこともあった」というが、「若い頃に受けたブスいじりは、じわじわとボディブローのようにきいてくる」「そのときはアドレナリンが出てるし、信頼関係があってこそだと思うけど、何も残りませんでした」とも言っていた。その後も、ミュージックビデオでも映っている時間も少なく、握手会で自分の人気を悟り、グループに貢献できていないと、自己肯定感を無くす過程が語られていた。
バラエティには出演していたが、そのときも「メンバーの悪口を言ったり、共演者に噛みつくこともバンバンやって、とにかく求められることをやるだけの、スタッフさんの犬と化していました」「自分のなりたい自分とかけはなれていくことで自己嫌悪になることがありました」と感じていたという。
この日の峯岸さんの「しくじり」はほかにもエピソードはあったのだが、この日記でこれまでにも書いてきたように、テレビが一時期、バラエティタレントに強いていたことを、ここでもやはり知ることとなった。
1月4日
『やすとものどこいこ!?』(テレビ大阪)と、同番組のTVer限定『忘&新年会でともこ爆弾発言!?激うまパーティ料理で大盛り上がり!』を見た。
この番組は、やすよともこがMCで、芸人と買い物に行くという関西ローカルの番組で、この日のゲストは、ダイアン・津田篤宏、女と男・市川、ラフ次元(空道太郎、梅村賢太郎)など、男芸人ばかりが4人。このメンバーで、スーパーに行って買い物をし、キッチンのついたスタジオに持ちかえって、皆で料理を作って忘新年会をしていた。
いつも東京の番組でいじられては怒鳴り返すような男芸人も、やすよともこの前では、その牙を抜かれたような、いやむしろ、本当は牙などなかったくらい温厚になり、楽しそうに料理を作っていた。この芸人にも、こんなところがあったのかと驚く。
やすよともこの番組に出てくる男芸人は、誰であっても、みんなほかの番組よりもおだやかで、その人の本来の良いところが見えているように思う。
同じ週に、やすよともこの『やすとものいたって真剣です』(朝日放送テレビ)を観たら、
別の男芸人たちが、やすよともこに「最近、老いが早くて大変なんです」「パーマをあてたいんです」「歯磨きにこだわりがあるんです」と、なんでもない日常を話す。これが男性大物MCの番組だったら「なにを意味のないこと言うとんねん」と一蹴されるだろう。他の番組でも、老いの話はするかもしれないが、もっと笑いに結びつけるように「盛った」話し方をするかもしれない。
『どこいこ!?』の中では、やすよともこが今年の『M-1』の審査員になったんです、とドッキリを仕掛ける場面もあったが(審査員が決まる前の収録らしい)、男性芸人たちが本気で驚き、でも心底、喜んでいるような感じの反応を見せていた。そしてまんざらない話でもないような表情を見せていた。それだけ、やすよともこが審査員をしてもおかしくないほどの地位にあるということだ。私も審査員をやってくれたらいいのになと思ったりもしている一人だ。
やすよともこは、ふんわりした雰囲気だけれど、今の関西で、確実に冠番組を増やしていて、そしてそれはずっと続くだろうと思わせる安定感がある。番組では、ふんわりした雰囲気で威圧感はないけれど、やっぱり関西で着実に実力を持っているのだ。
尊敬すべき先輩だからこそ、男芸人が普段は身に着けている鎧を脱ぐことができるというところも少なからずあるのかもしれない。けれど、東京の番組で、やすよともこのように男芸人にリスペクトされつつも、トキシック・マスキュリニティを無効にし、素の自分をさらけ出させる人はいないように思う。すごく稀有な存在である。
1 2