3月5日(日) 女性と言えばすぐに恋愛と結び付けられる違和感
『情熱大陸』(毎日放送)は片桐はいりをフィーチャーしていた。片桐さんはその中で、女性が「ちゃんとわきまえちゃう」「男の人が主流の世界で作られた役なんかつまんないとか、女は恋愛の場面しか出番しかないみたいな印象がいままではある」「役が面白くないんだよー」と言っていた。
番組を通してみると、「ちゃんとわきまえちゃう」ということに疑問を持ち、「わきまえちゃわない」ように生きているということを見せてくれた30分だったと思った。
しかし、『情熱大陸』が終わってすぐ後に始まった『ドーナツトーク』(CBCテレビ)では、また「ちゃんとわきまえちゃう」感じのトーク番組が始まっていた。
その日のゲストは森三中の黒沢さんであった。基本的には黒沢さんも「わきまえちゃう」ことに対しての違和感がある人だと思ったが、番組が、恋愛トークをすることが「女性ならでは」だと思っているコンセプトなのか、「未婚の一人っ子が親と向き合わないといけなくて大変」などと黒沢さんが言うと気まずい空気になって、話を明るい方明るい方に変えようとしていた。それが今のテレビなのだと思って作っているのであれば、百歩譲ってMC陣がそうするのは仕方ないところもあるとは思う。
しかし、よく考えると『あちこちオードリー』(テレビ東京)に峯岸みなみさんが出ていた回(3月8日放送回)を見ても、最近の話題として結婚のことを聞いたりもしてないし、それでいてめちゃくちゃ面白いじゃないか!という思いもある。
もっと言えば、男性がMCであれば、恋愛のことを聞くのは苦手であるという空気があるし、それが別に恋愛を否定することにもならない(女性が恋愛話をするのが苦手というと、恋愛を否定しているようになる可能性は高い)。なぜなら、男性は恋愛以外に話すべきこと、重要なことがあり、恋愛のことを話すのは生産性がない、くらいの刷り込みがあるからではないか。
3月8日(水) 「かっこつける」ことに怖気付く芸人たち
『ラヴィット!』(TBS)のオープニングテーマは「オススメのあふれ出るもの」だった。レギュラーのSnow Man佐久間大介のオススメは、「色気あふれるアルコ&ピースの平子祐希」とのことで、Snow Manの曲「僕の彼女になってよ。」の中で、カメラを見つめて「君の彼氏になりたい。」とつぶやく箇所があり、この日の男性陣で「君の彼氏になりたい選手権」を繰り広げることに。
参加する男性たちは、スタジオの裏にある小道具や衣装を身に着けこの選手権に参加するのだが、皆、真面目に競うのではなく、しかも「君の彼氏になりたい。」という決め台詞も無視する人も現れ、「おもしろ」を競う大喜利になっていく。
そんな姿を見て、MCの川島さんは「なんでこっちきたら眼がちっちゃくなるんですか」と、また審査員席に座る平子さんは、相方の酒井の番が来たときに「なんでみんな、共通して言えるのは、眼を見せるのを怖がるんですか」と指摘していた。すると酒井は「怖いんですよ」と答えていた。
番組にいつも大喜利のような色合いがあるので、その平子の指摘も込みで面白く見たが、「かっこつける」「色気を見せる」ことは、ここまで人を怖気させることなのかと思ってしまった。もちろん今回の場合は、「かっこつける」ことに加えて、その場を面白くさせないといけないこともあいまってなのだろうけれども。
その後、平子と川島も予定にはなかったのに、この選手権に参加。さっきは人に客観的につっこんでいたのに、いざ自分が参加することになると、やっぱり「かっこつける」ことを恐れ、スベってしまっていた。特に川島さんは、顔を白いTシャツで覆い「声だけに全精力を注いでいる男です」とつぶやく。やはり眼をまったく見せず「みんなグラサンしてる意味がわかりました」と語っていた。
3月5日(日) アーティストは「俺の魅力で虜にさせる」職業
前後してしまうが、『ラヴィット!』を見ていたら、『~夢のオーディションバラエティー~Dreamer Z』(テレビ東京)を思い出した。
この番組は、LDHのオーディション番組。この日は、KID PHENOMENONというグループの合否発表の日。そのKID PHENOMENONのメンバーが、武者修行(というLDH特有のデビュー前にバスで全国のショッピングモールなどの広場をまわるツアー)の舞台に出る前に、「端から端まで全員、俺らの虜にして、ヤバKID PHENOMENON最高やっていうフェノメノンを起こしていきましょう」と言っていたり、彼らのクリエイティブ・コーディネーターを担当した三代目のNAOTOが、「皆がファンのみなさんに磨かれてる感がこの一か月間で感じられた」と言っていた。
もちろん、お笑い芸人と歌や踊りで見せるアーティストは全く違う仕事であることは当然のことであるが、アーティストは「かっこつける」とか「色気をみせる」ということに、まったくてらいがない職業なのだなと思った。同時に映画『マジック・マイク』シリーズを思い出した。『マジックマイク』も観客に磨かれ、自身のパフォーマンスが完成していき、それが自身のアイデンティティになる話だからだ。